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[No.12]
 朱い鎧
【登場人物】
死神の騎士、メルビン

ガション…ガション…ガション…ガション…
全身を包む鎧が擦れる独特の音が周りに響く。彼にとっては、どこにいようとやるべき事はそう変わらない。
すなわち、人間を発見して殺戮する。サーチアンドデストロイ。しかし、本来自分が持っていた盾と斧はなくなっていた。
これではうまく殺すことができない。ごそごそと支給品を取り出た。残りは邪魔だ。捨ててしまおう。彼には食事など必要ない。
出てきたものは、細身で、柄には羽を装飾されたもの。とりあえず、全力で木に向かって振ってみる。
ザン!ザザン!
物が切れる心地よい音が、一振りで2度鳴った。よい業物をもらった。この剣そのものはそう強いわけではないが、
彼自身の力を考えればすばらしい威力になるだろう。
早く、肉のもので試し切りがしてみたい。一体どのようになるのだろうか?真っ二つか?それともミンチか?
どうなるか考えるだけで心が弾む。
そんなことを考えていると、泥などで薄汚れた老人が見えてきた。
ベギラマで吹き飛ばそうか、という気も確かに思ったがやめておいた。今はこの剣を使いたいのだ。
ガション…ガションガションガション!
鎧がすれる音が大きくなり、ペースも一気に速くなる。
「むッ!またもモンスターでござるか!?」
老人が気付き、ふらふらと立ち上がる。ろくに体が動かせないようだ。動けないのを強引に立ったというのがよく分かる。
一気に迫り、勢いよく剣を振るう!
「クッ!」
斬撃を後ろによろめきながら槍のようなもので攻撃を防ぐ。今の攻撃を防ぐとはなかなかやるみたいだ。しかし、
ザン!
この剣は一振りで2度切れる。もう一撃は、見事に老人を切り裂いていた。
「その剣ははやぶさの剣…!ぬ、ぐ…まだこれしきのことで!」
槍を引き、一気にこちらに突きこんできた。そらすようにうけたが、鎧の一部が削れてしまった。
「ベホイミ!」
距離をとり、老人が回復魔法を唱える。でも、正直どうでもよかった。
こう見えても、彼の鎧は沢山の怨嗟の声と、沢山の悪魔や人間の血を浴びせ作られた鎧だ。
それをあのように砕くとは。あの武器も欲しいなぁ。欲しいなぁ。

「モンスターめ…イオラ!」
あまり動けない老人は、魔法に切り替えたようだ。老人の声とともに中規模の爆発が起こった。
「ベギ……ラマ…」
こちらも魔法で応戦する。爆発にかぶせるように火炎が撒き散らされ、爆発を押さえ込んだ。
素早く走りこみ、剣を振るう。相手も先ほどのことが身に染みたのだろう。
1撃目を防ぐと同時に体を後ろにそらし2撃目もかわす。でも、それまで。
「ベギィ…ラマ!」
空の左手を老人に押し付ける。その一撃は、確実に弱った老人を絶命させた。
炎と飛び散った血が彼の鎧を更に赤く照らす。
戦っているときのちょっとした動作で分かったが、おそらく大怪我をしていたんだろう。あっけない。
もう、一撃もって欲しかった。この剣で切り裂きたかったのに…。
まぁ、いいか。肉は山ほどいる。
老人の持つ槍を左手で持つ。うん、悪くない。
ガション…ガション…ガション…ガション…
鎧が擦れる音を残し、彼…「死神の騎士」は消えていった。
【B-3/レーベ東部の草原/朝】

【死神の騎士@DQ1】
 [状態]:右肩の鎧が数cm欠けている
 [装備]:左手にメタルキングの槍  右手にはやぶさの剣
 [道具]:なし
 [思考]:サーチアンドデストロイ 隼の剣で殺したい

※メルビンの道具(不明 2つ所持)はその場に放置

【メルビン@DQ7 死亡】
【残り37人】

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