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[No.15]
 魔王の行進
【登場人物】
ピサロ

「………リー。ロザリー……」

念仏の如く、魔王は呟き続ける。
薄暗い、洞窟。ここは塔の地下階層らしかった。
ピサロは生気の抜け落ちた顔を見上げ、見渡す。
ここは、宿屋のようで寝台が並んでいる。
しかし、無人。人の気配は微塵もしない。

彼は思い悩んだ。悩んで悩んで…そして、一つの答えを導き出した。
復讐。
愛する者を殺された今、その仇を討つしかなかった。
そのためには、生きなければ。
生きて生きて……目指すべきは、ハーゴン。
「……殺す……!!!」
愛する者の為ならば、集まっていた奴等を屠る事など厭わない。
躊躇いは無い。何もかも滅ぼし尽くしてみせる。
目に、狂気の瞳が点り出した。
しかし。

「………落ち着け……ピサロよ」
荒い呼吸を押さえ、自分自身を諭す。
冷静に考えてみる。あそこに集まっていた者達は勇者と同等、いや、それ以上の者もいた。
闇雲に戦いを挑んでも敗北する可能性がある。
幾千もの魔物を統べる智将、ピサロ。
魔族の王としての頭脳がフルに回転を始めた。支給品の中身を、彼の考えと照らし合わせる。
支給品の中身は、先ほど軽く確認しておいた。
エルフの飲み薬とよばれる魔法の薬品。
失われた魔力を一瞬にして癒すこれは、魔法に長ける魔王の大いなる助けとなるであろう。
エルフ、という説明書の文字を読んだ瞬間身体が強張ったが、平静を崩さないようにする。
「ロザリー………」
これもみな、仇を討つが為と割り切る。

続いて、ザックから取り出されたのは鎖鎌。
殺傷能力があまり無いのは仕方がない。
「…他の奴から有益な武器を奪えば、良い」
一応、腰に括り付けて歩き出す。そして最後の支給品は闇の衣。
包み込めば闇に紛れられるこれは、夜の戦いなどに大いに役立つ。
衣服の上にまとって、魔王は地下通路を進んだ。
長い長い通路に人気は無い。
生ある者が現れ次第、消すつもりで歩いていたがはたと気づく。

―脱出して、ハーゴンの元へ行く術を持つ者がいれば?―

彼は考えを改め、ほくそ笑む。煩わしい殺し合いが嫌な訳ではない。
ハーゴンに一泡吹かせることができれば願ってもない好機。
そいつを脅してでも私はハーゴンに会い、惨たらしく殺さなくてはならない。
試す価値はあると、魔王は考えた。
不運な子羊が彼の前に現れるのはいつであろう。
【E-3/ナジミの塔地下通路(アリアハン城地下へ接近中)/朝】

【ピサロ@DQ4】
[状態]:やや情緒不安定気味 健康
[装備]:鎖鎌 闇の衣
[道具]:エルフの飲み薬(満タン)
[思考]:ロザリーの仇討ち ハーゴンの抹殺 
   ゲームに乗るが、脱出への足がかりになりそうな者(魔力を豊富に持つ者)は殺さずに利用を企む

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