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[No.27]
 堕ちた夫人とグッドなおねーさん[2]
【登場人物】
フローラ、フィオ

「ん、じゃあ治療代として10万ゴールドもらおうかね」
「は?」
「ん、今はボロだけど結構いい身なりしてたみたいだし、金持ちさんなんだろ?
 命の代償としては破格の安さだと思うけど」

どうやら無償の人ではなかったようだ。

「ん、今は持ち合わせないだろうからここから脱出できたらでいいよ。
 ん、後ここじゃその火傷痕は消せないけど、元の世界に戻って半年も治療を続ければその痕も消せるよ。
 ん、その時は月3万ゴールドで私が専属になってあげてもいーかな」

そしてがめつい。遠慮というものは微塵も持ち合わせてないようだ。
ならば私も遠慮の必要はないだろう……。

「わかりました。ではまずこれを受け取ってくださいな」

私はザックから取り出したものを彼女へと刺し出した。

―――――――

トン

(ん、何だコレ)

少し押されたような感触があり、フィオが胸を見るとそこから何かが飛び出ている。
それが毒針の柄だと悟り、フィオはフローラの方を見た。
彼女は薄く微笑んでいた。

(ん、そっか。私はバッドなおねーさんを助けてしまったわけね)

もう一度彼女は自分の胸を見下ろす。

(ん、根元まで刺さってるね。これは流石の私もお手上げかな)

グラリと身体が傾き、後ろ向きに地面に倒れる。

(ん、私の人生はここで終わりか。儚いもんさね)

薄れいく意識の中、脳裏には妹のように思っていた勇者の顔が浮かんだ。

(ん、あんたが心配さねアリス。このおねーさんには気をつけるんだよ)

そして今度はもう一人、仲間だった魔法使いの顔が浮かぶ。

(ん、あんたは……まぁどうでもいいや。……いけ好かない女だったさ。
 ん、まぁ死ぬならせいぜいアリスを護ってから死ぬことさね。私には……できなかったからね)

静かに彼女は自らの死を受け入れ、その瞳を閉じた。

(ん、まぁあんたらがこっち来ないように祈っててやるとするかね……)

そうして彼女は天に召された。

フローラはフィオの死を確認すると深々と頭を下げた。

「ありがとう私に覚悟をくれて。
 あなたを殺せたことでようやくここにいる全員を殺す自信と覚悟を手に入れられました。
 そして……」

フィオのザックから取り出した帽子を被る。

「とても良い物を頂けました」

それは唱えた呪文を更に反響させてもう一度放つことの出来る魔法の道具、山彦の帽子だった。
そしてもう一つ……あらゆる物へと変化することのできる不思議な力を持った杖。
フローラは立ち上がり、ザックを背負う。
ただれた右腕と頬が引きつるが、痛みは酷くない。
これも感謝しなくてはならないだろう。

「フィオさん、本当にありがとう」

そして彼女は進む。リュカを手に入れるために。

「うふふ、リュカ様……もうすぐですわ。もうすぐ……あなたは私を愛するようになる」

狂気と共に彼女は進む。その先に何があろうとも。
【C-5/山岳地帯/昼〜真昼】

【フローラ@DQ5】
[状態]:顔から右半身にかけて火傷痕(治療済)※
[装備]:山彦の帽子 変化の杖
[道具]:支給品一式 毒針 ベレッタM92(残弾14) マガジン(装弾数15)×2
[思考]:ゲームに乗る 永遠の若さとリュカの蘇生を願う

※フローラの火傷には定期的な回復治療が必要です。
  治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし、悪化します。
  完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です。

【フィオ@DQ3女僧侶 死亡】
【残り36人】

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