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[No.10]
 Alice in Dangerland
【登場人物】
アリス、カンダタ、ベリアル、バズズ、アトラス

突然薄暗い場所に移動させられたかと思うとこんな殺人ゲームに強制参加されられてしまった。
「許せません」
アリスは怒っていた。
その時に罪もない女性が犠牲になってしまい、しかも自分は何もできなかった。
「許せません」
アリスはとても怒っていた。
地図を見るとゲームの舞台となる場所は自分の故郷だった。
「絶対に許せません!」
アリスは激怒していた。
自分の支給品を確認するとひのきのぼうが一本だけ入っていた。

「絶対に許してなんかやらないんだから!!」

アリスはとてつもなく怒っていた。

アリスはこのゲームを壊す為に迷わずに行動方針を決めた。
「まずはこの首輪。そして脱出方法ね」
その為には自分と共に参加させられている仲間と合流するべきだ。
(私の仲間ならルイーダを目指すはず。出会いと別れの酒場こそは私たちの待合場所ですから)
彼女はアリアハンへと向かって足を踏み出した。

しかしいくらも進まないうちに木々を掻き分けて迫ってくる存在に気付く。
ひのきのぼうを構え、アリスは接近者を待ち構えた。
そして現れたのは――覆面マントにパンツ一枚の変態だった。

「やや、姐さん?」
「カンダタ!?」

変態……もとい、元盗賊の頭目カンダタ。かつてアリスとは何度も戦った相手である。
アリスは油断なく、棒を突きつける。
「やるというなら相手になります! このゲームに乗る人は許しません!」
するとカンダタは慌てて手を振った。

「いやいやいや、姐さんと戦う気はありやせんって。今だって逃げてきたとこなんすから」
「逃げてきた? ……ってさっきから姐さんって何なんですか?」
「へい、姐さんはあっしを何度も救ってくれやした。その時に決めたんです。
 もしも自由になれたらこの人についていこうって。
 今は自由とはちと違いやすが今こそ姐さんの力のなる時です! 
 姐さん! どうかこのカンダタを仲間にしてやってくだせぇ!」
がばっとカンダタは土下座する。
これにはアリスも参り、結局カンダタを仲間にすることにした。
「ところで先程逃げてきたって言いましたよね?」
「へい、さっき何やら物凄く強そうな怪物が3匹集まって相談してるところに出くわしまして。
 物陰から盗み聞きしてたらそいつらぁ協力して参加者を皆殺しにするというようなことを……」
「なんですって!?」
いきなり叫ぶアリスにビクっとしてカンダタは後ずさる。
「へ、へぇ。あっしもできるなら止めたかったんですが、おっそろしいほどの妖気放ってたもんで
 絶対に殺されると思いましてね。誰かに知らせる方が先と……」
「解りました、その判断を責めはしません。そのモンスター達の場所は何処なんです?」
凛、として尋ねるアリスにカンダタは必死で思いとどまらせようとする。
「いや、今は止めたほうがいいっすよ姐さん。滅茶苦茶強そうなのが3匹っすよ?
 仲間を集めてからにしたほうが絶対いいですって!」
「悪を野放しにして置くわけにはいきません。さぁ話してください」
「いや、でも……」
それでも言いよどむカンダタに業を煮やしたのかアリスはわっしとカンダタの顔をわし掴んだ。
「カ、ン、ダ、タ?」
「こっから西にちょっと行った先の小さな崖下っす!」
微笑みながらも200kgを超える握力で顔を掴まれカンダタは即答する。
それを聞くや否やアリスは駆け出した。
「カンダタ! あなたは先にアリアハンのルイーダの酒場に行っていてください!」
「姐さん、待ってくだせぇ!!」
カンダタの制止も聞かずアリスは駆け去っていった。

一方、カンダタが目撃したという怪物たち。

彼らこそはハーゴンがこの殺人ゲームを成功させる為に送り込んだジョーカー。
単眼の赤き巨人アトラス。毒紫の毛皮を持つ魔獣バズズ。金色の大悪魔ベリアル。
破壊神シドーのしもべたる三大悪魔だった。
「キキッ、ハーゴン様もわざわざ俺たちを送り込むとは念を入れることよ……。
 まぁぶっ殺すのは嫌いじゃねぇから構わねぇけどな。キャキャ!」
「ワシは自ら手を下すよりも高みから見物している方が好みだがな。だがまぁ……」
「バ、バズズ。ハ、ハーゴン様はシドー様を復活させる偉い人。
 ア、アトラス達、し、従う、正しい」
「アトラスの言う通りよ。これは破壊神復活の為の必要なる儀式。
 念を入れて入れすぎるということはない」
「キキキ、わかってるさ。それよりもそろそろ行こうぜ、待ちくたびれちまったぜ」
「まぁ待て、もう一度確認しよう。ワシがアリアハン城下町。バズズがレーベの村。
 アトラスがいざないの洞窟付近で参加者たちを狩る。よいな?
 無線インカムの使い方は解ってるな?」
「わ、わかった。だ、大丈夫」
「キキ、任せな」
「よし、ならば……」
相談がまとまり、リーダーのベリアルが動き始めようとしたその時、その声は鳴り響いた。

「待ちなさい!」

突如として聞こえた声にベリアルたちは慌てて周囲を見渡す。
「な、何だ!?」
「あ、あの崖上!」
「キィ? なんだ人が立ってるぞ!?」
そう彼らの頭上、高さはそうないが崖の上に人が一人立っていた。
朝日が逆行となってその姿はシルエットとなっている。
その影は腕を組んでベリアルたちを見下ろし、朗々と口上を上げた。

「弱肉強食の獣たちでも殺す事を楽しみはしません。悪の道に堕ちた者だけがそれをするのです。
 しかし、貴方達の邪悪な心を天は許しはしません!大いなる天の怒り……
 人、それを……『雷』といいます!」

「おのれ、何奴!?」

「貴方達に名乗る名前はありません!!」

ベリアルの誰何の声を一蹴し、影=アリスは地を蹴って飛び降りる。
その余りに威風堂々とした挙動にベリアルたちは攻撃も忘れてアリスが降りてくるのを待った。
しかし、アリスの着地点には拳大の丸い石が落ちていた。

ずる、べしゃっ、

滑って顔面で着地するアリス。はらり、とマントが頭に被さった。

し〜〜〜ん。

沈黙が降りる。ベリアルたちはリアクションに困っていた。
「……死んだか?」
「死んでません!」
アリスはその言葉に反応し、ガバッと起き上がる。
鼻血を拭って首をコキコキ鳴らしてみた。
「あたた……ちょっと打ち身つくっちゃいました……」
「あれでただの打ち身で済んだのか……只者じゃないな」
ベリアルの呟きにフッフッフとアリスは笑声を漏らす。
「勇者の行動は全てちゃんと計算されてるんです。角度とか。
 例え転んでも打ち身で済むくらいは朝飯前」
「……」
もはや突っ込む気も起きないのかベリアルは沈黙した。
その反応に流石に恥ずかしくなったのか僅かに顔を赤らめながらアリスは首を振った。
「ええい、そんなことはどうでもいいのです!
 とにかく勇者アリス、悪の現場に即参上! 悪党ども、覚悟しなさい!」

ひのきのぼうを構え、アリスは三つの巨悪を前に敢然と立った!
【C-3/森林/朝】

【アリス@DQ3女勇者】
 [状態]:首筋に打ち身
 [装備]:ひのきのぼう
 [道具]:支給品一式
 [思考]:ベリアルたちを倒す

【カンダタ@DQ3】
 [状態]:若干の疲労
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式 アイテム不明
 [思考]:姐さんを追うか迷う

【ベリアル@DQ2】
 [状態]:健康
 [装備]:※無線インカム
 [道具]:支給品一式 アイテム不明
 [思考]:目の前の小娘は何だ? ゲームを成功させる

【バズズ@DQ2】
 [状態]:健康
 [装備]:※無線インカム
 [道具]:支給品一式 アイテム不明
 [思考]:目の前の小娘は何だ? ゲームを成功させる

【アトラス@DQ2】
 [状態]:健康
 [装備]:※無線インカム
 [道具]:支給品一式 アイテム不明
 [思考]:目の前の小娘は何だ? ゲームを成功させる

※無線インカムの電波は島全域をカバーしています。
  ベリアルたちはインカムで互いの情報を共有しています。

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