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[No.18]
 仲間を思う気持ちの鎖
【登場人物】
ハッサン、テリー

テリーとハッサンが再開してから数時間。
一〜二時間の仮眠からテリーが目を覚ますと入れ替わるようににハッサンが仮眠に付いた。
日がかなり高くなったというのに、ハッサンが目を覚ます様子はない。もう三時間は寝ている。
しょうがない、もう少し寝かせておいてやるか、と思いかけて、ふと気が変わった。

テリーはボウガンを眠るハッサンの眉間にそっと向けた。
もともと殺すつもりで近づいたのだ。
今なら、眠りから死へと苦痛もなく移行できるだろう。
ぐっすり眠っているようだから、抵抗されることもない。

──そう、簡単に、殺せる。
この引き金を引くだけだ。
それで、姉さんが生き残る確立が上がる──

かたかた、とボウガンが鳴る音がして、手が震えているのだと気づいた。
引き金にかけた指は、テリーの意志に反して、ぴくりとも動かなかった。
もしこれがテリーの知らない参加者だったならば躊躇いなく殺しにかかるだろう。

(他の参加者は他人で、ハッサンは仲間だった…その差か?)

それとも、一緒に行動したことで情が移ったのだろうか?
どちらにしても、今はハッサンを殺すことができない。それだけは認めなければならなかった。

──殺せないのなら、朝のうちに本人に言ったように、こきつかってやる。
テリーはボウガンを引くと、ハッサンを軽く蹴り飛ばした。

「いつまで寝てるつもりだ、いい加減に起きろ」

「これからどうするんだ」

支給されたパンをかじりながら、ハッサンが聞いてくる。

「そうだな、姉さんを捜して。途中で他の参加者にあったら殺すかな」
「ミレーユを探すのは手伝うけど、他の参加者を殺そうとしたら邪魔するぞ」
「邪魔したらあんたも一緒に殺すだけだ」
「それは困るな。俺まだ死にたくないし」

二人とも、話の内容とは裏腹に、穏やかすぎる表情で笑っていた。
──情が「移った」んじゃなくて、「戻ってきた」のかもしれない。こんなことに巻き込まれる前の状態に。
そう思いながら、テリーは「行くか」とつぶやいて立ち上がった。
「おう」と答えてハッサンも続いた。
【D-4/アリアハン北部の森→?/真昼】

【ハッサン@DQ6】
[状態]:健康
[装備]:聖なるナイフ
[道具]:まだらくも糸 魔物のエサ
[第一行動方針]:テリーと一緒にミレーユを探す
[第二行動方針]:テリーを説得
[基本行動方針]:打倒ハーゴン

【テリー@DQ6】
[状態]:健康
[装備]:イーグルダガー
[道具]:ボウガン(鉄の矢×30)
[第一行動方針]:ミレーユを探す
[第二行動方針]:他の参加者を殺す(ハッサンは殺せない)
[基本行動方針]:ミレーユを生き残らせる

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