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きっと、必ずや伝説へ

きっと、必ずや伝説へ


登場人物
ピサロ@DQ4、アレフ@DQ1、アリス@DQ3


静かな部屋の中は薄暗いが、アレフの手元は温かい光に溢れている。
フォズから一時的に借り受けた『奇跡の石』で右足を断続的に治療している証だ。
多少の違和感を残すも、動かすにはまるで問題ないまでに元通りだ。
しかし表情はむっつりとし、もう片方の手にぶらさがるそれを見つめている。

「精霊神ルビス、か……俺の時代には手を貸してくれなかったのなぁ」

輝きを宿したルビスの守りを鼻先にぶら下げ、アレフは独り言ちた。
竜王アレンの話ではルビスの守りがあってこそ、マリアの旅の終わりはもたらされたらしい。
つまり、この守りは女神の加護と直結する重要アイテムということだ。
しかし女性に託されたものをすぐに野郎に渡すのはいかがなものか。

「……うーん」
中央の輝石の周囲に宿る、四つの光。
しばらくにらめっこしていても、変化は見られない。
どうすべきか、アレフにはとんと思い当たらない。

「こういうので悩むのは、俺の得意分野じゃあ無いしな……うーむ」

なにしろ、アレフには魔術めいた代物を手元に置いた試しが無い。
竪琴も杖も、全て長く持ち歩いた記憶は無く人に譲ってしまった。
こういった類の品に縁深いのは、むしろ術者であるマリアだろう。
なぜ自分に託したのか、この光が何を意味するのか。
アレフは同じ部屋で眠る二人を眺めつつ、ぼんやりと考えていた。

「なにせこの細工だ、下手に触れるのも危険だし」
「興味深いですね」
「!」

いつのまにやら入り口の傍に立っていたのは一人の少女。
アレフもその血を身に宿す伝説の勇者その人であった。

「ご先祖様」
「もう、そんな呼び方よしてくださいよ」

その微笑は、歴戦の勇士には似つかわしくないほど可憐だった。
もっとも、立ち振る舞いに隙一つ見えないのはさすがと言うべきか。
眠るマリアとアレンを起こさぬように静かな足取りで隣までやってきて、座る。
慌ててアレフは姿勢を正したが、よしてくれと拒まれる。
その小さな身体に魔王を打ち倒すまでの力が秘められていると、俄には信じられなかった。

「年上の方に畏まられても、むず痒いというか……アリス、とお呼びになってくれれば」
「そんな!俺にはできないよ」

アレフ自身、最初はロトの血など露知らずで暮らしていた。
しかし、戦いの中目覚ましく実力を付ける自分の身体。
勇者の再来と、ロトの伝説を知る全てのアレフガルドの民の期待。
旅を続けるうちに、自分に流れる血が真の勇者のものだと、気付かされた。
その血の主が、気安く接せと言っている。
アレフは困惑するしかなかった。

「……あなたは、皆が憧れた勇者ロトじゃあないか」
「いえ」

アリスはその名を、否定した。
子孫が捧ぐ後の世に伝わる栄光を、受け取ろうとはしなかった。

「今の私はロトと呼ばれたことも無い、ただの小娘に過ぎません」

若輩者に過ぎないと、彼女は言った。
説かれてようやく、アレフも膝を崩すことにする。
呼び名もこうして、改めた。

「アリス」
「はい、アレフ……なんだか、マリアとの時よりも若干照れます」
「はは……」

笑いあう二人は、どこか兄弟染みて見えた。
やはり血の繋がりを感じさせるからか、二人はすぐに打ち解ける。

 
「しかし、すごいな」
「どうかしましたか?」

アリスがアレフから受け取ったルビスの守りをくるくると弄びながら首を傾げる。
アレンの言う通り渡したが、アレフはその行動に特に疑問も抱いていないようだ。
どこからか覇龍の嘆息が聞こえたような気がした。

「いや……こんなことを言うのも失礼かもしれないが」
「気にせずに言ってください。誰の、どんな言葉も受け止めるのが勇者です」
「俺は旅の途中ロトの伝説をひととおり聞かされたが……君がこの若さで魔王を倒したなんて、想像もしていなかった」

アレフは語る、アリスの成した数々の偉業を。
その中には本人すら知り得ないものも数々含まれていた。
そこは幾年月もの時の流れが引き起こした脚色というものもあり、勇者は苦笑した。
もっとも、活躍ばかりに気を取られて勇者の性別すらもまともに伝えていなかったのは問題だが。
アリスは、きちんと自分が女だったと伝えるようアレフに詰め寄ったりもした。
興奮して声が大きくなったアリスを宥め、一息つく。

「ふう……改めて思うと、伝説の中の人物がすぐそこにいるのか….感慨深いなあ」
「……伝説……」

アリスの笑顔が曇る。
活き活きとした瞳に陰りが見えた。

「……なれます、かね」
「え?」
「……ここから生きて帰って……そして、伝説になる……」
「なるさ、でなければ俺の旅も─」
「本当に、なれるでしょうか?」

悲しみ、感慨、希望、決意……
たくさんの感情が混ざり合った表情を浮かべ、アリスは俯いた。
アレフは、はっとする。
こうして交代の時間まで若干の余裕もあるというのに、目覚めてきた。
肩が触れ合うほど近くまで傍に寄り、座り込んだ。
幼き勇者が感じているのは─

「……不安……か?」
「……」
「……すまない、口にするべきじゃなかった」

すまなそうにアレフが頭を掻いた。
目の前の勇者ロト。
その弱気な様を見てしまって、何やら申し訳ない気分になった。
いつか、塔でフォズにそうしたように、自然と手は跳ね気味の頭に伸びていた。
 
「私、もう16ですよ?」
「あ…………つい」
「……ふふ、ありがとうございます、アレフ」
「……すまない」
「いえ。……お父様を、思い出しました」

上目遣いで抗議した彼女も、どこかうれしそうな顔に表情を変えた。
掌の温もりを感じ、アリスの胸は温かくなる。
アレフは、この少女をロトとして扱うのはやめた。
勇者と呼ばれてはいても、か弱くも強い心を持った、小さな女の子なのだ。
もっとも、アレフが彼女の戦う姿を目の当たりにしていればまた違った評価だったかもしれないが。

「しかし……お父様はちょっと、な。そんな歳じゃあないし」
「じゃ、お兄様で」
「……こそばゆいなあ」
「えへへ……」

血というのは時を経れば薄まるもの。
しかし、この二人は微塵もそれを感じさせなかった。
勇者としての魂を、その胸に焼き付けた二人。
重ねた時間はここに残った皆の中では短くも、その絆は固かった。

「で、アリス。眼が冴えてしまったんだろう?」
「はい、眠りにつけなくて……」

アリスは体力こそ全快しているものの、魔法力を回復するために精神を休めなくてはならない。
充分休んで回復したとは言え、もう一眠りほどは必要だろう。
もっともアレフがラリホーをかければいい、というわけではなかった。
強制的に誘われる眠りとは違う、熟睡とは精神を極限まで安らげること。
呪文を行使する際に精神を揺らがせないためには、リラックスすることが必要なのだ。
アレフは、自分の先祖である少女へ何と言ったものか、迷っていた。

 
「なら……昔話でも聞かせてくれないか?俺は、君の物語が聞きたい」
「でも、知っているのでしょう?私の子孫の、アレフならば」
「……いや、違うんだ…ロトの旅路は確かに知っている」

アレフは首を横に振る。

「アリスの旅の話を、聞かせてほしい。アリスの目線で、思い出を」
「え……」
「君の冒険を、君の足跡を辿りたい。おもしろおかしく、頼むよ」

アレフは、彼女の一番安らげる記憶を探り当てた。
それを話すことで、この不穏な気分を吹き飛ばすことができたなら。
そう思っての、頼みであった。
大切な仲間の思い出、苦しかった旅路。
そして、家族とのひととき、父の偉大さ。
くるくると表情を変えなんとも楽しそうに語るアリスを、アレフはにこやかに見守った。
アレンとマリアを起こさぬよう、囁くように二人の勇者は冒険の書を紐解く。
そしていつしか、話疲れたころにアリスが再び睡魔に誘われ……
 
 
 
「……で、こうなった」
「……重ねて聞く」
「?」
「…………勇者というのは……どこまでめでたい奴らばかりなのだ……?」

その膝に少女を眠らせたアレフと交代しに来たのは、頭を抱えたピサロ。
神経を尖らせている彼の先端という先端がヘシ折られて丸まった気分だった。

「俺の退屈しのぎに付き合ってもらっただけさ。けっこう面白かったぞ女四人の珍道中」
「……もういい……お前もさっさと休め」
「解った解った。そうだ、これを使っておけ」
「?」

手渡されたのは桃色の光を帯びた小さな石。
合点がいったか、ピサロは頷いて素直に受け取った。

「せめて、痛みくらいは和らげて置けよ」
「……そうだな」
「愛想の無い奴め。後で、フォズに返して置いてくれな……っしょっと」

ピサロは溜息を一つ付き、最後の見張りへと着く。
アレフはアリスの小さな身体を、起こさないようにそっと抱き上げた。

「……気を抜くな。時は迫っている」
「百も承知さ……おっと」

抱き上げた表紙に寝転んだアリスの手元から、ルビスの守りが軽い音を立てて転がる。
その輝きは─

「すまん、それ持っておいてくれ。アレンがアリスとお前にも手渡してくれって」
「!……ああ」

ピサロが左手で拾い上げた守りを、裏表見返す。
彼は、祝福を与えた精霊神こそ知らねど、その脈動するような力は、理解できた。
そして計画も、詰み。
ハーゴンと、自分たちの戦盤に投じられた駒は戦局をひっくり返す。
これにてチェックメイト。

「……勇者」
「なんだ?」
「─よくやった」
「へ?」
「いい。気にせず、眠れ」

アレフは疑問を覚えながらも、エイト達も雑魚寝しているであろう部屋へと向かう。
足音を最後に、ピサロの周りには寝息を除いて何も聞こえなくなった。

「……心に刻まれし五つの紋章、か」

ぼそりと零したピサロは、ぶらさげた紋章をじっくりと眺めて見る。
数刻も前のマリア、アレンとの考察での話の中枢にはいつもこれがあった。
唯一ハーゴンと相対したマリアが携えていたというこの守り。
フォズが語った、精霊神ルビスという存在。
間違いなく、これは鍵だった。
ピサロはいつか言った。
精霊、神、何者もあてにするだけ無駄だと。
己が己を救わねばならぬ、と。
しかし。

「……相手も神なら……お前もそれほど吝かでは無いはず、尽力してもらおう」

ルビスに語るようにピサロは呟く。
足りない欠片は、今揃った。
それこそが、破幻の輝き。
ピサロは微かに笑み、そして腰を据える。
右腕への定期的な回復呪文を挟みつつ、瞑想に入るのであった。
いよいよ、神へと牙を突き立てる戦いが始まる。
ピサロの思考は既に勝利するための算段を練ることに移行していた。


【E-4/勇者アリスの家/早朝】

【ピサロ@DQ4】
[状態]:HP 5/6(回復中) MP4/5 右腕使用不能 
[装備]:鎖鎌 闇の衣 アサシンダガー
[道具]:支給品一式 首輪×5[首輪二個 首輪(分解) 首輪×2] 奇跡の石
     ピサロメモ 宿帳(トルネコの考察がまとめられている)
     ルビスの守り(紋章完成)
[思考]:ハーゴンへの復讐 世界からの脱出方法を実践する 体力・精神力の回復 最終決戦の戦略を練る
※ピサロの右腕は通常の治療では完治できません。
 また定期的な回復治療が必要であり、治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし、悪化します。
 完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です。

【アレフ@DQ1勇者】
[状態]:HP(ほぼ全快) MP(ほぼ全快) 左足に刺傷(おおむね完治) 首輪なし 睡眠中
[装備]:ロトの剣 ロトの盾 鉄兜 風のアミュレット
[道具]:支給品一式 氷の刃 消え去り草 無線インカム
[思考]:このゲームを止めるために全力を尽くす
 
【アリス@DQ3勇者】
[状態]:健康 MPほぼ全快(回復中) 首輪なし 熟睡中
[装備]:メタルキングの剣 王者のマント 星降る腕輪 
[道具]:支給品一式 ロトのしるし(聖なる守り)炎のブーメラン 
    祈りの指輪(あと1.2回で破損) 虹のしずくについて話す
[思考]:仲間達を守る 『希望』として仲間を引っ張る

※ファルシオンは家の前にいます

※アリスの家内に以下のアイテムがあります

※以下の装備品類は、分配された可能性があります
プラチナソード 破壊の鉄球 さざなみの剣 鉄の杖 魔封じの杖
炎の盾 マジックシールド あぶないビスチェ インテリ眼鏡
84mm無反動砲カール・グスタフ(グスタフの弾→発煙弾×1 照明弾×1) ビッグボウガン(矢 0)
 
※以下の三つのアイテムが、フォズ・ピサロ・マリアの間で分配されました
引き寄せの杖(2) 祝福サギの杖[7] 飛びつきの杖(2)

太陽のカガミ(まほうのカガミから変異)  
錬金釜 IN(雨雲の杖 太陽の石)  ラーの鏡 神鳥の杖


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