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ニアミス

ニアミス


登場人物
トロデ(DQ8)、マリア(DQ2)、ククール(DQ8)、ハッサン(DQ6)、レックス(DQ5)、マルチェロ(DQ8)


日も暮れかけた王宮、窓から夕日が差し込んで来る。
図書室に行った男二人を待っている。そろそろ、『放送』が近い。

トロデは、幼少の頃より我が子のように可愛がっていたエイトの身を案じていた。
品行方正な彼、親と思ってくれても良かったのに近衛兵としての責務をきっちりと果たし自分を主君と呼ぶ。
いつか、本当の父にとも思っていた。

次に思い出したのはゼシカ、あの豊満ボディが忘れられない。
というのは置いておいて、大事な旅の仲間である。
以前ドルマゲスの杖に取り付かれいなくなった際もえらい騒ぎになった。
一人欠けただけで弊害がたちまち出てきて、彼女の大事さに気づかされたものだ。
ああ、どうか彼らの名が呼ばれぬようにと、トロデはいるのかわからぬ神に祈りを捧げた。

「…トロデおじさま」
「む、むう?」
「ご心配ですか、やはり…私も、同じ気持ちです」
「…そうじゃな。無事でいてほしい」
夕日に照らされる魔物の表情は、曇りがちであった。
と、キュルルと悲しい音をトロデの腹が鳴らした。
マリアがくす、と笑ってザックから大き目のパンを取り出して差し出した。
すまんの、と二人で半分こして頬張った。
考えれば朝から何も口にしていない。
腹が満たされて、トロデも少しだけ余裕ができた。
ふと、横に目をやると、開けられていないザックが目に留まる。

「おお、そういえば」
自分には少々高めな椅子から降り、ザックを手に取る。

「この子の持っておった物、ですね。…気が、咎めますが…」
「うむ…物取りじみた真似じゃが、事態が事態じゃからのう。改めさせてもらうとするか」
ザックをごそごそと短い手でまさぐるトロデ。
その手が思わぬものに触れた。

「む、むおっ!?」
「どうなさいました!?」
「こ、これじゃよ!」
トロデの手には鈍い光沢を放つ怪しげな壺のようなものが握られていた。
なにやら魔法の力を秘めてそうである。

「…これは…いったい?」
「これは我がトロデーン王国に伝わる…錬金釜じゃよ!」
嬉々として語るトロデであるが、マリアには事情がよく飲み込めない。
ただの高そうな壺にしか見えないからだ。

「それで…それはどういった?」
「錬金ができる釜じゃよ」
「いえ、だから…」
マリアは軽く混乱した。

「…という釜じゃよ。材料があれば加工できるじゃろう」
「なるほど、便利な物ですわね…」
やっと釜の本質を説明されたマリア。
確かにこれを使えば未知のアイテムを手にすることができる。
強力な武器や、脱出方法も得られる可能性ができたわけだ。
「ほかに何か材料となる物は、と…むう?これは…」
入っていたのはなにやら小さな袋。
サラサラと、砂のような音がしている。

「おお…聖者の灰じゃな。これこそ錬金の材料として使える物じゃ」
そしてもう一つ入っていたそれを引きずりだした瞬間。
「ぐおお!?」
「お、おじさまっ!?」
トロデはベッドの下敷きになった。

「…へぇ、あんたが元スーパースターだって?笑えない冗談だぜ」
「いや、そういう意味じゃなくて、『職』ってやつだ。わかんねぇかな〜」
なにやら話が弾んでいる。
双方長身の男であるが、片や筋骨隆々モヒカン、片や銀髪の長身痩躯なので対比も甚だしい。
二人並んでいると妙な画となった。

「とりあえず、あんたが歌って踊ってるトコなんざ想像できねぇや」
「そうか?一応得意なんだがな…そ〜れ、ハッスルハッスル!」
「ぶっ、ははっ、ぶははははははは!!!!」
腰をクイッ、と動かしお尻がギュッと締まったまま手をフリフリさせて踊る大男に、ククールは爆笑した。
まあ、わからないでもないが。

「ひー、やめてくれ、死にそう…ははは」
ゼシカが同名のダンスを踊ったときも笑ったが、破壊力が比でない。
色気のかけらもないからだ。

「元気出たか?傷も塞がるダンスだ」
「へ?」
見ると、腕の酷い火傷が軽くではあるが治癒されていく。
こんな所まで、ゼシカと同じとは。

「…あんたすげぇな」
「スーパースター、バトルマスター、レンジャーの経験を積んだからな。横文字ばかりでよくわからんが、技にゃ熟達よ」
改めてククールは感心する。
見た目によらず繊細で、器用な真似もこなす大男。
こういう奴はリーダーとかに向いているな、と感じた。

「おいっ!おぬしら!!」
「おっさんいつの間に!!!」
「どうした、トロデのおっさん。今必死に調べてる最中だろが」
ククールは白々しく本棚を漁っているが、トロデは意に介せずハッサンのまわしを引っ張る。

「ここを離れるぞい、こっちにくるんじゃ!」
「え、な?」
慌てた様子のトロデ王を見て、ククールも状況を悟った。
気になった呪文書を5,6個持ち出して学者の部屋を去る。

「いったいどうしたってんだ?」
「大方事情は飲み込めるぜ…襲撃ってとこか」
「ああ、そうじゃ!マリアちゃんが、武器を持った男が城へ入るのを見たそうじゃ!」
「なんだって!?」

部屋に集まったトロデ一行は荷物をまとめ出す。
マリアによると窓から覗いたのでよく見えなかったが、その男は大きな筒、大砲のような物を抱えていたそうだ。
町を爆発させた跡があるのも、その男がやった可能性があるらしい。
この子を連れたまま戦うわけにもいかないので、ひとまずこの場を離れることになった。

「でもおっさん、この子を抱えては遠くに行けないぜ?」
「これがあったんじゃよ、荷物の中に!」
「こ、これは…空飛ぶベッドじゃねぇか!!!」
かつて夢の世界を旅していたときに譲り受けたそれが、ハッサンの目の前に今あった。
「…ミレーユの形見、ってことになるのかもな…」
テリーはその男と会わず無事だろうか、とハッサンは呟いた。
テリーまで死なせてはミレーユに面目が立たない。
彼の強い責任感は、テリーを心配しつづけた。
「ベッドが空飛ぶ、って?なんか、何でもアリだなこの世界は…」
「これなら、この子も寝かせたまま逃げられますから…」
「乗るんじゃ!飛ぶぞい!!」
大男たちも乗せ、ベッドは夕暮れに飛び出していった。
奇妙な光景の逃走劇であった。
しかし、なんと皮肉なことだろう。
弟は、殺戮者となった兄と歯痒いニアミスを犯していたことに、気づかなかった。
間もなく、放送が始まる。

静まりかえった城内。
小さな足音をコツコツと響かせてその男、マルチェロは城に入ってきた。
あの後覚醒して近くを探ったが人気が無かったので、城の中まで入ってきたというわけだ。
足元を見ると、血の跡がベッタリと残されている。
荒らされた城内と相成って、ここが戦場だという証明になった。
なかなか好戦的な奴が近くにいるかもしれないと、マルチェロは警戒した。
ふと、足元に転がる光に気づく。
「む?」
何か落ちている。
マルチェロが近づくと、それは折れた刃であった。
妖しげな装飾、不気味な刃。
剣そのものの作りは化け物のようだ。
だが、人を惹きつける怪しげな魔力があった。

「これは…くっ!?」
手にとって見ようと指先が触れた瞬間、マルチェロを激しい頭痛が襲った。
思わずその場に膝をつく。
なにやら、声が聞こえる。
それは頭の中に直接響いてくるようだ。

ああ私の半身よ…折れた半身よ、どこへ…

「声…!?誰だ!貴様…!?」
立ち上がろうとすると、手にへばり付いたようにその刃は取れない。

マルチェロ は のろわれている!

「この…刃…呪術染みた物かっ!?しまった…!!」

剣を 手にする者よ 汝こそが 我が新しき手足
さあ 我の虜となれ 仮の宿りとなりて 我に従え……!
我の 折られた身を 探す為…!

頭を蝕む邪悪な何かが、マルチェロの体を駆け巡った。
それは、皆殺し。
皆殺すという確固たる意思を強制的に持たせる呪い。
一つの意思を持った、恐るべき剣。

しかし、そんな恐怖の武器に今取り込まれようとしていても。
マルチェロは、歪めた唇から笑いを漏らした。
「…フッ……前にも…似たようなことがあったな…」
暗黒の魔力が篭った杖。
彼はそれを握ったことがある。
だが、その時も屈しはしなかった。

マルチェロは、意識を失わない。
法衣の袖を裂き、離れない指先と刃の間に巻きつけるようにして握りこむ。
柄を失った刃でも手を傷つけなくした。

な…んだと…!?

「だが、今も昔もそんな時…私はこう言うのだ」
彼は立ち上がって落ち着いた様子であった。
ヒュン、と一つ風切り音を鳴らして、彼は一人呟く。

「命令されるのは、あいにく大嫌いでね」


【E-4/アリアハン城北の平原/夕方(放送直前)】

【トロデ@DQ8】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(不明の品が1?) 大錬金釜 聖者の灰 空飛ぶベッド ミレーユの通常支給品
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン

【マリア@DQ2ムーンブルク王女】
[状態]:健康
[装備]:いかづちの杖
[道具]:支給品一式(不明の品が1〜2?) ※小さなメダル トゲの鞭 毒薬瓶
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン

【レックス@DQ5王子】
[状態]:呪われている(呪いの効果弱)  気絶(睡眠) 打撲
[装備]:折れた皆殺しの剣 王者のマント
[道具]:祈りの指輪×1(一回でも使えば限界)
[基本行動方針]:不明

【ハッサン@DQ6】
[状態]:健康
[装備]:聖なるナイフ
[所持]:まだらくも糸 魔物のエサ
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン

【ククール@DQ8】
[状態]:右腕に火傷(半分回復
[装備]:ビッグボウガン(矢 18)
[道具]:天馬の手綱 インテリめがね アリアハン城の呪文書×6(何か書いてある)
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す マルチェロを止める

【E-4/アリアハン城内/夕方(放送直前)】

【マルチェロ@DQ8】
[状態]:HP4/5 MP4/5程度 
[装備]:折れた皆殺しの剣(呪い克服
[道具]:84mm無反動砲カール・グスタフ
[思考]:ゲームに乗る(ただし積極的に殺しに行かない)


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