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ロザリー

ロザリー


登場人物
ピサロ(DQ4)、フォズ(DQ7)


  強い魔力を持つ者を求め、北へと向かうピサロ。
 森の間から、峻厳な山々が立ちはだかるのが見える。
 (感じる魔力は北東の方角…東の山を越えるしかない)
 立ち止まって、脇に抱えているものを見る。
 (探すには眠ってもらっていた方がいいが、襲撃がいつ来るとも分からん。
 巻き添え食って死なれる前に、こいつの能力の概要ぐらいは知っておくべきか?)
  立ち止まっている彼が不審なのか、襟元から、トカゲが顔を出す。
 トカゲと目が合い、睨み合う形になる。
 しばらくして、何か納得したのか襟に再び戻るトカゲ。
 (まったく、すべてが馬鹿馬鹿しいこと、この上ない。
  さて…)
 少女を地面に下ろす。
 (勇者ユーリルが居れば、ザメハを使うだけで済んだのだ)
  ふと、己が愛するエルフと自分を救った勇者を思い出す。
  なすべき使命だけを考え、自分と無関係の命の復活を選んだ、少年を。
 ピサロは頭を横に振って感傷を追い払う。

 (ダメージを与えれば起きるだろう。私が使う呪文はどれも強力すぎる。何回か殴って起こすか)
 もう1つの方法が頭をよぎる。
 (効くかどうか分からんが、こちらにも負担が少ないからな) 
   意識を集中する。
  銀の魔王は、いてつくはどうを放った。
   全てを無効し、力を剥ぎ取る、凍えた衝撃がフォズを襲う。

   ―――手がフォズの頬にあたったかと思うと、体全体が温かいぬくもりを感じた。
   ああ、アルスさんが助けに来てくれたんだ…体温の心地よさに安堵した。
   体はまだ冷たく重かったけれど、次第に薄れて、意識がまどろみに呑みこまれる。
    もう、大丈夫ですよね?
   現れたアルスさんは不思議に困ったような顔をしていた。
    アルスさん? アルスさん!? 
   何度呼んでも、返事がない。
    アルスさんがフォズに背を向けて歩いていく。
   歩く先にはマリベルさんがアルスさんを待っていた。
    同じように困った顔をこちらに見せて。
   フォズはついていこうとするが、足が動かせない。
    ただ、去っていく二人を呆然と見送るだけ。
   
   「こちらに来い」
  有無を言わせぬ声が聞こえた。さっきまで感じていたまどろみを剥ぎ取って。
   いやだ。アルスさん!
   私の足よ。動いて…! 
  懸命にもがく。
   (仕方がない)誰かが呟いた。
    首筋に衝撃を受け、息が止まる。
   反射でうめきと共に、息を吐く。
  段々とアルスとマリベルの姿が、涙でぼやけて…フォズは目覚めた。

  半ば呆然としつつも、フォズはゆっくりと上体を起こす。
  透明な雫がその頬を流れた。
  「目覚めたようだな」
  すぐ隣で声がする。
  自分の状況を思い出し、あわてて手で目をぬぐい、警戒しながら声の方を向く。
   刹那、フォズをかつてないほどの目眩を感じた。
    
    視界一面に広がる暗闇。
   腹の底から湧き出て尽きる事のない憎悪。
   体中を駆け巡る、やむことのない無音の嵐。
  
   他人の強さ――体と魂の強さを感じる少女の力がもたらした感覚。
  フォズはダーマ神官として様々な魂を観察する。だが、彼のような魂を持っていたのは数人しか知らない。
    偽神官アントリア。そして、ハーゴン。しかし、彼らは縛るものがあった。
  完全な自由意思を持ちながら、世界への憎悪をやめることができない存在。
  それはまるで話に聞く…
   
   「魔王」
   
   ピサロがピクリと片方の眉を動かす。
  慌てて口を押さえようとしたが、遅い。
 「説明せずとも、逆らえばどうなるか想像ができるようだな?」
  手を伸ばす魔王。
  (殺される!)
  フォズは思わず目を閉じる。
  (あれ…?)
  浮遊感と温もりが少女を包む。

  抵抗する暇もなく、魔王に少女の体は抱えられていた。
   魔王は硬直している少女に命令する。
 「聞きたいことがあるが、急ぐのでな。その態勢で喋れ」つかつかと歩き出す。
  少女は、いそぐ魔王の様子に、どこか人間臭さを感じ、今度は自らの意思で魔王の魂を直視した。
    闇の心が閉ざされそうな感覚に怯みながらも、大神官の誇りにかけて、感覚を研ぎ澄ませ耐える。
  
  魔王の、一面の暗闇の片隅に、腹の底の一部に、嵐の一陣の風に、それはあった。

       誰にでも、何にでも未来は待っている。
         
  神官とは、全てのものに正しき道を示す、みちしるべ。私は神官達の長。
    (アルスさん、ガボさん、マリベルさん。私、頑張ります)
  いつのまにか襟元から出てきているレオンと目が合った。
   フォズより小さき者も、応援するようにフォズの顔を舐める。
 
 「聞いているのか?」鋭い口調で魔王が訊ねる。
 「あっ、はい。聞いています」慌てて返事をする。
  一度、深呼吸してはっきりと、魔王を直視して、こう答えてみせた。
 
 「わたしは、もう、大丈夫です」

       ひとは、誰かになれる。


【D-4/北側の森/夕方(放送直前)】

【ピサロ@DQ4】
[状態]:健康 MP6/7程度
[装備]:鎖鎌 闇の衣 アサシンダガー
[道具]:エルフの飲み薬(満タン) 支給品一式
[思考]: ロザリーの仇討ち ハーゴンの抹殺 襲撃者には、それなりの対応をする
      北にいる強大な魔力の持ち主と接触する

【フォズ@DQ7】
[状態]:疲労(時間経過で回復) 首に軽い痛み(ピサロが手刀した模様)
[装備]:天罰の杖
[道具]:炎の盾  アルスのトカゲ(レオン) 支給品一式
[思考]:ゲームには乗らない アルス達を探す ピサロを導く


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