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炎、入り乱れて

炎、入り乱れて


登場人物
バズズ、トルネコ、リア、ビアンカ、アレン(竜王)


トルネコは現状を確認する。
バズズを湖に氷漬けにした後の通信で、参加者を皆殺そうとする3体の魔物のうち
リーダー格であるベリアルがどうやら死んだことがわかった。
その仇を討つためにアトラスがレーベに向かったようだがあの様子では辿りつくまでに大分時間が掛かるだろう。
ベリアルを倒した人たちには何とか逃げ延びてもらいたいものだと思う。
レーベのことはしばらく放っておいていいだろう。問題はアリアハンだ。
あのバズズという魔物は強い。何とかしてこの危機を他の参加者たちに伝えなければならない。
しかし……トルネコは道に迷っていた。
アリアハンに行くと決めたはいいが、コンパスも地図もなくてはどこに向かって進めばいいのか判らない。
「はぁ、はぁ、何とか誰かに会って地図を見せてもらうしかありませんなぁ」
そして2時間ほど森をさまよった挙句……彼は出会った。
「キキキキ……まだこんなところをウロウロしてくれていて嬉しいぜぇ……
 なぁーーーーーーーーーっ!?」
「う、うびゃらぁー!?」
なんと目の前には氷漬けの状態からようやく抜け出し、トルネコを探していたバズズが立っていた。
ここはあの湖からそう離れた場所ではなく、トルネコは同じ場所をグルグルと回っていただけだったのだ。
バズズは血走った目でゆっくりとトルネコに近付いてくる。
「久しぶりだぜ……ここまで俺をコケにしてくれた奴は……
 たいした力も無いくせに悪あがきしてくれやがって……テメェは楽には殺さんぜ?」
バズズは強力な戦士だったアリスに対してよりも雑魚と思っていたトルネコに手こずらされたことのほうが
遥かに怒り心頭に達していた。
「まずはそのどてっ腹掻っ捌いて臓物を引きずり出してやる……」
炎の爪をペロリと舐め、殺意と共に迫るバズズを見てトルネコは狼狽する。
「ま、待て! お前たちの仲間、ベリアルは死んだんですよ?」
「な、んだと?」
トルネコの言葉にバズズはギョッと眼を剥く。
「私を殺してもきっとお前もいつか倒される! だからこんな無意味なことは……」
「うるせえ!!」
バズズの叫びと共に炎の爪から発せられた炎弾がトルネコを襲う。

「うぴゃあ!」
なんとか間一髪で回避するが爆圧に吹っ飛ばされてゴロゴロと地面を転がった。
「ベリアルが死んだだと? ふざけんな……あのいけ好かない金ぴか牛野郎に俺様が
 黙って従っていたのは何でだと思う? あの野郎が強かったからだ。
 アトラスより、この俺より! そのアイツが死んだ? キキキキ……」
トルネコはよろよろと起き上がると氷の刃を構え、振った。
刃から吹雪が巻き起こりバズズへと襲い掛かる。
「そのベリアルが死んだなどと……嘘をつくなぁああああっ!!」
しかしバズズは吹雪など意にも介さず跳躍し、トルネコへと打ちかかった。
炎の爪の一撃をトルネコは氷の刃でかろうじて防御し、バズズの巨体を跳ね返す。
「何ぃ?」
「これでも勇者さんと一緒に世界を救った大商人です! 舐めてもらっては困りますな!」
とはいってもトルネコには今の攻防が精一杯だった。
が、そのハッタリが功を奏したのかバズズの動きが様子見に変わる。
(このデブ……だが先程も俺はコイツにしてやられた……少しマジになる必要があるか……)
それにさっきのベリアル死亡の報が気になる。信じてはいないがインカムのないバズズにはその確認ができない。
もし万が一にも本当ならばアトラスと協力してその犯人たちを倒さねばならない。
どちらにしてもインカムは必ず取り戻さなくてはならなかった。
(もし、もしもベリアルが本当に死んだのなら……グズグズはしてられねぇ)
ベリアルを兄のように慕っていたアトラスは暴走するだろう。
一人で敵を討ちに突っ走り返り討ちにでもあおうものなら目も当てられない。
なんとしても早急にインカムを取り戻す。しかし目の前の男は意外にも手ごわそうだ。
ここは……。
「オイ、てめぇ……インカムをよこしな」
「は?」
「その頭に嵌ってるインカムを返せって言ってるんだ。そうすりゃあテメェは生かしておいてやる。
 これは取引だ」
「な、なんですって?」
助かる? このインカムを手放せば?
トルネコは突如振って湧いた希望に動きが止まる。
実際のところ次の攻撃を防ぐ自信などトルネコには無かった。
対応策もなく、絶望に取り憑かれかけていたのだ。

そこに助かる目が出てきてトルネコはそれに縋り付きそうになる。
思わずインカムに手を掛けて……はたと手が止まった。
(これを渡せば……奴はアトラスと連絡を取るに違いない。
 アトラス自身は頭が弱いようだが、こんな危険な奴らが連携を取れば……)
どれだけの参加者が死ぬかしれない。(トルネコはアトラスがインカムを捨てたことを知らなかった)
インカムを渡せばトルネコはその片棒を担ぐことになるのだ。
だが渡さなければ自分が死ぬ。他人の命と自分の命……どちらを優先するか。
トルネコは震える手を握り締め、決断した。
「こ、これを渡せば……ほ、本当に私の命は、助けてくれるのか?」
その怯えた表情を見てバズズはニヤニヤと哂う。
「(ニタァ〜)ああ〜 約束するよ〜〜っ インカムと引き換えのギブアンドテイクだ。
 渡せよ…早く渡せ!」

「だが断る」

トルネコは決然とバズズを睨みつけた。
「な、何?」
「私は商人だ! 対価を積まれれば何でも売るが、私のプライドを買おうというには
 その値段は安すぎますな!」
ギシリ、とバズズは怒りのあまり歯を軋ませる。
「そうかよ……じゃあ死ねぇ!! ベギラマァ!!」
魔力によって集められた高熱の光が熱線と化してトルネコを襲う!
そしてトルネコは氷の刃を振った。

ボムっ!

ベギラマとヒャダルコは威力を相殺しあい、ヒャダルコの氷をベギラマの高熱が蒸発させたことによって
あたりに濃厚な霧を生んだ。
「キキィッ、猪口才なぁ!!」
バズズは霧を掻き分けてトルネコの居た場所に突進するが、トルネコは既にその場から走り去っていた。
「逃すか馬鹿!」
決死の追いかけっこが始まる。

リアはビアンカの胸でひとしきり泣いた後眠ってしまった。
ビアンカはそれを我がこのように背負い、今北に向かっている。
危険はあるが、いつまでも同じ場所にいるわけにもいかない。
(必ず……守ってあげる)
慎重に周りを気にしながら歩いていると、進行方向から誰かが走ってくるのがわかった。
ビアンカは咄嗟に近くの木の幹に姿を隠し、リアを側に横たえる。
「リアちゃん、リアちゃん、起きて」
気は進まなかったがこの状況では仕方ない。リアの肩を叩いて目覚めさせた。
「ふにゃ?」
リアは寝ぼけ眼でビアンカを見る。しばらくすると状況を思い出したようだ。
すぐに泣き顔になるが、ビアンカはリアの涙を拭うとそっと抱きしめた。
「ごめんね、今から誰かが来るの。少し静かにしていて?」
リアに言い聞かせ、彼女は近付いてくる誰かを覗き見る。
見えたのは恰幅のいい男性と、魔界にて遭遇したことのある魔物……バズズ。
(襲われている!?)
男のほうは疲労困憊で今にもバズズに追いつかれそうだ。
(見捨てる? どうする?)
チラリとリアのほうを見る。手を出せばリアを危険に晒してしまうかもしれない。
しかし逡巡しているうちに男は転び、今まさにバズズの爪によって止めを刺されようとしている。
思わずビアンカが眼を瞑ったその時、リアが悲鳴を上げた。
「いやぁあああああああああ!」
「リアちゃん?」
「誰だ!?」
その悲鳴でバズズはビアンカたちの存在に気付き、振り上げていた炎の爪をビアンカたちに向かって
振り降ろした。
「リアちゃん、こっち!」
すぐにリアを庇って飛び、メラミを回避する。
そして彼女も呪文を唱えた。
「ベギラゴン!」
ビアンカの双掌から生まれた紅蓮の業火は絡まりあい、一匹の竜となってバズズへと迫る。

「ぬわっ!」
炸裂し、バズズは炎に包まれる。
その隙にビアンカはリアを連れてトルネコへと近寄った。
「大丈夫ですか?」
「は、はい、助かりました。しかしあれしきで倒れる魔物ではありません。
 早く逃げましょう」
「何度も言わせるな、逃すか馬鹿!」
振り向くと燃え盛る炎の中から全身を焦がしながらバズズが歩いてきていた。
「そんな……私の知っているバズズよりも、強い? あなた! 彼は私が抑えるから
 彼女を連れて逃げて!」
ビアンカはリアをトルネコの方にやると庇うように前面に立った。
「じょ、冗談じゃない。女性を見捨てて逃げたなんてこと妻に知られたらどんなお仕置きをされるか。
 ここは男トルネコ、体張らせてもらいますよ!」
トルネコは更にビアンカを押しのけるとバズズに向かって突進した。
「あ、ちょっと!」
「逃げてください!!」
制止するビアンカを振り切り、バズズへと斬りかかる。
バズズはその一撃を爪で軽く受け止めると、左手で殴り飛ばした。
「ぐぼぉ!」
ゴロゴロと転がって気に追突し、気絶する。
「ち、しぶといのは逃げ足だけか! 後は……」
「リアちゃん、逃げて!」
ビアンカはバズズに向かって走り呪文を唱える。
囮になってリアから目を逸らさせる為だ。
それを追い、バズズも呪文を唱えた。

「メラゾ……」
「遅ぇ!マホトーン!」

バズズの放った封印呪文によってビアンカの魔力は体内に縛り付けられる。
「しまった!」
「終わりだ」

ぞぶり

バズズの炎の爪がビアンカの腹部を貫く。
「かっ、は……」
「死ね」

ボンッ

爪から巻き起こった炎がビアンカを包み込んだ。
吹き飛ばされ、ビアンカは地面に叩きつけられる。
しかし全身を焦がしながらもビアンカはまだ生きていた。
「く……リアちゃんは、やらせない……!」
「ふん、耐えたか。中々高い魔力を持ってるな。だがもう動けまい。
 そこでガキが殺されるのをゆっくり見物してろ」
リアは恐怖のあまりその場に座り込んでいた。
「あ……助けて……お兄ちゃん……」
「リアちゃん、逃げて!」
「キキキ……焼き殺してやる」
バズズは再びベギラマの炎を腕に宿らせると無情にリアへと向けて放った。

炎が迫る。
トルネコは気絶している。

炎が迫る。
ビアンカは動けない。

炎が迫る。
バズズは哂っている。

炎が迫る。
どうしようもなく、リアはポツリと呟いた。

「助けて……神さま」
 
 
 
 
 
 
そして炎は炸裂した。

火炎が撒き散らされ、熱気を周囲に飛ばす。
「ぁああああああああああああああああ!」
「ぎゃははははははははははははははは!」
ビアンカの叫びと、バズズの哄笑が唱和する。
「ははは……は?」
しかしバズズは気付いた。炎の中に影があることを。
明らかに少女のシルエットではない。杖を持った何者かが炎の中に立っている。
ビアンカもそれに気付き、目を凝らした。
「な、何が起こったの?」

リアはゆっくりと眼を開けた。
いつまでたっても自分が燃えないことに不審を抱いたからだ。
もしかして自分はもう死んでしまったのだろうか。
そう思いながら前を見ると、誰かが自分の前に立ち炎の伝播を遮っていた。
その者は片手でベギラマの威力を受け止めている。

「神……さま?」
「いいや」

そのローブを着た魔導師風の男は静にそれを否定した。

「ワシは神ではない。王でも、人ですらない。だが……」
片手で炎を握りつぶすと周囲に撒き散らされていた炎も一瞬にして消えた。

「お前の願いは確かに聞き届けた」

その圧倒的な力を前にバズズは狼狽する。
「な、何だキサマはぁ!?」
男はそれを一瞥すると小さく鼻を鳴らした。
「ワシの名はアレン。ただの……ドラゴンよ」

(アレンお兄ちゃん……?)
仄かに想いを寄せていた青年を脳裏に思い浮かべ……リアは静に気を失った。


【D-2/森林と茂みの境/夕方】

【アレン(竜王)@DQ1】
[状態]:普通
[装備]:竜神王の剣 まふうじの杖
[道具]:プラチナソード ロトの盾 ラーの鏡
[思考]:バズズを倒す この儀式を阻止する アレンの遺志を継ぐ

【リア@DQ2サマルトリア王女】
[状態]:気絶
[装備]:なし
[道具]:風のマント 支給品一式(不明の品が1〜0個)
[思考]:?

【ビアンカ@DQ5】
[状態]:腹部に深い裂傷 全身に軽度の火傷 HP1/20 MP少量消費 マホトン
[装備]:祝福の杖 しあわせのくつ
[道具]:まほうのカガミ 引き寄せの杖(5) 飛びつきの杖(5) 場所替えの杖(5) 他1つ 支給品一式×3
[思考]:この子(リア)を守る レックスを捜し、守る ゲームを脱出する

【トルネコ@DQ4】
[状態]:HP1/5 軽い火傷 疲労困憊 気絶
[装備]:氷の刃 ※無線インカム
[道具]:ワイヤー(焦げて強度は弱くなっている)
[思考]:気絶 アリアハンへ向かう
     アリスや他の参加者に危機を伝える

【バズズ@DQ2】
[状態]:HP3/5 MP2/5
[装備]:炎の爪 
[道具]:支給品一式
[思考]:目の前の全員を殺す インカムでアトラスと連絡を取る
     アリス達を追い、殺す ゲームを成功させる


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