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泣いた赤鬼

泣いた赤鬼


登場人物
アトラス、ドランゴ、トルネコ(声)、(ベリアル(声))


アトラスは森を彷徨っていた。
いざないの洞窟を目指してはいたが、地図も方向も確認せずに歩くだけでは到達できるはずもない。
結果彼は最初の森をぐるぐると歩き続けていただけだった。
先程の通信によるとベリアルは既に2人も倒しているらしい。
自分も頑張って参加者を倒そうと意気揚々と彷徨うが一向に参加者と出会うことはなかった。
そして森の中で海底洞窟への入り口に辿りつく。
そんな時再びベリアルから通信が入った。

『おい、聞こえるか』

慌ててアトラスも答える。
「べ、ベリアル、ど、どうした?」
『は、はぁ、なんですかな?』
バズズは先程から声がおかしい。ダメージを受けているといっていたが大丈夫だろうか。

『ワシの方は新たに3匹の獲物を捕捉した。1匹は死に損ない、後の2匹は中々やるようだが
 脅威は感じん。今から引導を渡しに行くところだ。お前たちの状況はどうだ?』

やはりベリアルは凄い。着実に任務を果たしていくベリアルにアトラスは申し訳なく思った。
「ア、アトラスまだ、だ、誰にもあってない」
『わた……お、おれの方もまだです……だ、うん』
その二人の答えにベリアルは少し苛ついたような声を出した。

『ち、何をやっているのだお前たちは。特にアトラス、今何処にいる?
 もう洞窟には着いたのか?』
「ご、ごめぇん、ベ、ベリアル。も、森をずっと歩いてたら、地下の階段、み、見つけた」
『森? 階段? ……馬鹿かお前は! それは海底洞窟の入り口だ!
 最初の場所から殆ど離れとらんじゃないか!!』
「ご、ごめぇん」
『もういい! アトラス、お前はレーベに来てワシを手伝え。
 そこから北西に進めば辿りつく村だ。ちゃんと地図とコンパスを確認するのだぞ!』
「わ、わかった、アトラス頑張る」

『バズズ、声の様子からするとまだダメージは回復しとらんらしいな。
 今は無理に追わずに休んでおけ。襲い掛かって返り討ちにあいましたじゃハーゴン様に申し訳が
 立たんだろう』
『は、……は! 言うとおりにしま、する!』

『よし、ワシは先程言ったとおり新たな3匹の獲物を始末する。アトラス、なるべく早く来い。
 ワシ一人にばかり働かせているんじゃない』
「ア、アトラスすぐ行く」

ブツ、

通信は切れた。
そしてアトラスは焦って歩き出す。早くレーベの村に行かなければならない。
ズン、ズン、と足音を響かせて進むが一向に森からでられなかった。
地図を確認してみるが、ここが何処かわからない。
コンパスを確認しようと取り出したら、強靭な握力で握りつぶしてしまった。
(どうしよう……このままじゃベリアルにまた怒られる)
アトラスは困った。
しばらく考えたが、彼の頭で妙案が出せるはずもなく、彼はインカムのスイッチを押した。

「ご、ごめぇんベリアル。ア、アトラス今何処にいるかわからない……」

ビクビクしながらベリアルに助けを求めた。

……。

「ベ、ベリアル?」
『返答がありませんなぁ』

怒っているのだろうか。返答はない。
バズズからの応答はあるのだが。

……。

「ア、アトラス謝る。ベリアル、お、怒らないで……」

……それでも返答はない。

「ベリアル? ……バ、バズズ、ベリアルが答えない……」
『え? えー、と、そうですな。これはもしかして参加者に倒されてしまったのではないか……と』

アトラスはそれを聞いて頭に血が上った。

「う、嘘だ! ベリアル強い! 負けるわけない!!」
『しかし参加者を倒すといって通信が切れた後にこれでは……相手も複数いたようですし』
「……そ、そんな……」

ベリアルが負けた? アトラスは信じられない思いで地に膝をついた。
(ベリアル……死んだ?)
それを悟った時、アトラスのたった一つの瞳から涙が溢れ出した。

「うおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」
『うひぃ!』

後から後から涙が滝のように流れ出てくる。
アトラスにとってベリアルは頼りになる兄のような存在だったのだ。
ひとしきり泣くとアトラスは涙を拭いて立ち上がった。

「アトラス、ベリアルの仇取る! バ、バズズもレーベに来てアトラスと一緒に仇取る!」
『い、いやぁベリアルも死んだことですし相手はかなり強いようですよ?
 ここはおとなしく参加者の皆殺しなんてやめてですね…… 一緒に脱出……』
「何言ってる! バズズ、ハーゴン様に逆らうか?」
『いや、そうではなくて……ほら、負けて死ぬよりも生きて明日へと羽ばたこうじゃありませんか』

「もういい! バズズ弱虫! アトラス一人で仇取る!」
『あ、ちょっとま……』

ブツッ

アトラスはインカムを外すとその場に放り捨てた。
臆病なバズズとはもう話したくなかったのだ。
(バズズ、見損なった! 前はあんな奴じゃなかった!!)
怒り心頭で彼は走る。方向も何もない。何も考えずに復讐だけを誓って走り続けた。
そして森の中、彼と一匹の竜は出あう。
それはアトラスと同じく森を彷徨っていたバトルレックス、ドランゴだった。
テリーを探そうと彼女もまた森を行ったり来たりしていたのだ。
アトラスは相手を魔物と見て仲間と思い話しかける。
「レーベの村どこ? アトラス、そこに行かなきゃいけない!」
(レーベ? それだったらここからすぐ西の方だけど……随分必死なようね。
 何かあったの?)
「ベリアル殺された! そいつレーベにいる!! ア、アトラス仇取る!!」
(まぁ、おだやかな話じゃないわね。いいわ、テリーの捜索は中断しちゃうけどレーベまでは案内
 してあげる)
「あ、ありがとう!!」

ドランゴの親切によってアトラスはついに森を出ることに成功する。
すぐ西にはレーベの村が見えた。案外近くまで来ていたようだ。
(あれがレーベの村よ。そういえば仇がレーベにいるとどうして判ったの?)
ドランゴの疑問にアトラスは得意になって答える。
「ハ、ハーゴン様から貰った"いんかむ瓩任錣った」
その名前を聞き、ドランゴの顔色が変わる。
(ハーゴンですって? あなたハーゴンの仲間なの?)
ドランゴはアトラスとの距離を取り斧をかまえた。
それを見てアトラスも表情を変える。
「お、お前仲間じゃない? ハーゴン様の敵?」

(冗談じゃないわ! 愛しいテリーをこんな場所に送るような人の仲間なんて!
 ハーゴンはテリーと一緒に私が倒してあげる!)
ドランゴは斧をアトラス目掛けて振り下ろすが、アトラスは見た目に似合わぬ速度でそれを
ハンマーで受け止めた。
「て、敵……ベリアル殺したのは……お前!?」
そのまま力任せにハンマーを振るいドランゴを吹っ飛ばす。
(きゃあ!)
ドランゴは近くの木に激突し、倒れる。
すぐに起き上がるが目の前にはすでにアトラスが再びアトラスがハンマーを振り上げていた。
(そんな!? なんてスピードなの?)
ドランゴは気付かなかったがアトラスの首には緑色の水晶がペンダントとしてぶら下がっていた。
アトラスはこの儀式に参加する前にしたベリアルとの会話を思い出す。

――どうしたアトラス。元気がないな。
――うう、ベリアル。ア、アトラス自信ない。
――何故だ?
――ア、アトラス呪文も特技も使えない。殴るだけ。
――それだって立派な特技だろう。お前の力とタフネスにはワシも敵わん。
――で、でもロトの子孫には負けた。今度の儀式でも負けるかも……。
――なるほどな。ならばこれをやろう。
――こ、これ何?
――風のアミュレットだ。これでお前は無敵になる。
――む、無敵?
――そうだ、アトラスを火とすればそのペンダントは風。小さな火でも風を送り込めば大きく燃え上がるのだ。
――アトラスは……火。
―― 一つ一つは小さな力だが重ね合わせれば大きな炎となる。炎となったアトラスは無敵だ!
――ベ、ベリアル……。
――ハーゴン様の選んだ我らだ。必ず勝てる!
――ありがとうベリアル! アトラス頑張る!

「アトラスは無敵! 誰にも負けない!」

ドゴォン!

ドランゴはその痛恨の一撃をかろうじて回避するが、その場には大きなクレーターができる。
(な、なんて力なの? でもこれなら!)
ドランゴは大きく息を吸うと、彼女の最高の攻撃、灼熱の炎を吐き出した。

ゴォオオオッ

火炎は辺り一帯を包み込むと全てを焼き尽くし焦土とする。
朦朦と煙がたなびき炎が消えるとドランゴは勝利を確信した。
しかし視界の中でゆらりと動くものがあった。
(そ、そんな!?)
アトラスは先程自分が作り出したクレーターの中に立っている。
その窪みが塹壕の代わりを果たし、灼熱の炎の直撃を防いだのだ。
しかも風のアミュレットの力、バギマがシールドの役目を果たしダメージも最小限に抑えられている。
考えて実行したことではない。アトラスの戦いの本能が瞬時に編み出した防御法だった。
アトラスはクレーターから抜け出すと物凄い速度でドランゴに迫る。
風のアミュレットはバギマの力だけでなく装着者の動きを俊敏にする能力も持っているのだ。
その力は疾風のリングや疾風のバンダナなどでは及びもつかない。
一瞬にしてドランゴに接近するとメガトンハンマーを力任せに振るう。
ガキィン
咄嗟に鋼の斧でドランゴは防御する。
(なんとか耐えたわ! さあ、魔神斬りをくらいなさい!)
渾身の力を込めて斧を振りかぶったドランゴが見たものは既に再びハンマーを振るうアトラスの姿だった。
(なんで!? 早すぎ……)
アトラスの瞬発力はアミュレットの力がなくとも相手の一挙動の間に二回攻撃することが出来るのだ。

(テリーッッ!!)

アトラスの痛恨の一撃を無防備に喰らい、ドランゴの上半身は粉々になった。
紫色の血を噴出しながら、残った下半身はビクビクと痙攣していたがやがてゆっくりと倒れる。

アトラスはしばらくじっとそれを見ていたが、相手が死んだことをようやく悟ると雄叫びをあげた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ」

(ベリアルの言ったとおりだった! アトラスは無敵!)

そして炎となったアトラスはレーベを見ると駆け出した。
兄の仇を取る為に……その遺志を継ぐために。


【B-2/平原/午後〜夕方】

【アトラス@DQ2】
[状態]:少々の火傷(行動に支障なし) 興奮状態
[装備]:メガトンハンマー 風のアミュレット 
[道具]:超万能ぐすり 支給品一式
[思考]:レーベに向かいベリアルの仇を取る ゲームを成功させる

【D-3/森林/午後】

【トルネコ@DQ4】
[状態]:HP1/2 軽い火傷 疲労
[装備]:氷の刃 ※無線インカム
[道具]:ワイヤー(焦げて強度は弱くなっている)
[思考]:アリアハンへ向かう アリスや他の参加者に危機を伝える

※アトラスの無線インカムはB-3の森林の何処かに放置されています。

【ドランゴ@DQ6 死亡】
【残り30人】


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