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光は闇は何処にいく

光は闇は何処に行く


登場人物
アレン(竜王)(DQ1)、ローラ(DQ1)、マルチェロ(DQ8)


そこには確かに、アレンにとっての「太陽」が居た。
アレンの口から名前だけが零れる。
しかし、続く言葉が紡がれる事はなかった。

――なんといえばいいのだろう?
今更ながら後悔、というモノを感じる。

ローラは眼を丸くし、驚いた様子でアレンを見る。
当然だ、とアレンは思う。
彼女はきっと、自分の事を良く思ってはおるまい。
例え今のアレンが彼女の味方だと言われても信じはしないだろう。
そう確信出来るほどには酷い扱いをした。

住み慣れた城から連れ去り、闇に閉ざされた洞窟に幽閉される。
血縁者も知らず、孤高の魔王として君臨していたアレンには分からない。
突然、親しきものと離別させられる悲しみ、その辛さ。

理解しようとは思わなかった。
ただ、理解することが叶わないのは分かっていた。
 
 
 
――ローラはただ驚きを隠せずにいた。
面と向かって会ったことはない。
だが、それが彼だということは遠めからでも分かった。

彼女が好きだった竜は彼をとても尊敬していた。
今でもありありと思い出せる。
不機嫌なとき(しかしいつもその原因は彼女にあった)ローラが竜の主君の話題に触れる。
すると、普段必要最低限の言葉しか喋らないその竜が決まって饒舌になるのだ。
それがローラにとって嬉しかった。
だから、話題に詰まったときにはいつも彼について聞いたのだった。
その中で彼の輪郭というものがローラの中で形成されていた。

たいがい、そのドラゴンが話す内容は決まっていた。
彼曰く、「王の称号を冠する唯一無二のお方」なのだという。
竜王の前ではどんな魔物も平伏すのだと。
 
 
 
つまり孤高。つまり孤独。
ローラはその話を聞くたびにどんなに寂しい思いを竜王がしているのかと考えた。
たしかに彼女も王族であり、彼女の父・ラルス16世もまた王なのだが、
その父は、自身の位を「民あってこその地位」だといっていた。
しかし、彼の場合そうではないらしい。

どんなに考えてもローラには分からない。

ただその玉座にあるのは孤高、そして孤独。
光に背を向け、闇に閉ざされたその心の在り方の根源が、
それらによってもたらされるモノだとしたら、

なんと悲しい王なのだろうと、そう思った。


「竜…王…さん?」

その一言が発せられるまでに随分時間がかかったようにローラは感じた。
有り触れた言葉で表すなら、永遠というのが相応しい。
それは一瞬のうちに起こった出来事だったが、
脳内では引き伸ばされて、とても長い時間が流れていた。

鬼気迫る状況とは、なんの前触れも無く訪れる。
ローラは出会いの言葉も思いつかないまま歩みを進めていた。
目の前の彼にかけるべき言葉と、誰かに伝えねばならない事実が
ローラの頭の中で渦を巻き、何から話してよいのやら見当も付かなかったが、
それでも逸る気持ちが抑えられずに早足に彼へと近づいていった。

しかし、刹那。

唸るような風の流動が聞こえ、間近には巨大な火球が迫っていた。
直前、竜王の隣にいたファルシオンが警告の嘶きをあげていたが、すでに遅かった。
ローラはとっさの事にどうする事も出来なかった。
出来たことといえば身をかがめるだけ。
そこから先は先程述べたように永遠にも感じられる時間がやってきた。
きつく眼を瞑り、やがてやってくる筈の痛みに全身を強張らせる。

しかし、その痛みはいつまでたってもやって来なかった。
理由はすぐに分かった。
目の前にいた竜王が、ソレを跳ね除けていた。
弾け飛ばされて、近くの家に被弾した火が赤々と燃えている。

そして、その陽炎の向こう。
そこには、赤とは正反対の色をまとった男がいた。

ゆらり、大きく炎が揺れる。
その途端、マルチェロは一気に間合いを詰めて来た。

細波の剣と皆殺しの剣がぶつかり合う。
この一太刀はかろう時でアレンが勝り、マルチェロが後退する事となった。

はやくもマルチェロは直ぐに体勢を立て直す。
折れた剣の切っ先をローラに向けようとする。

が、アレンによって阻まれてしまった。
金属がぶつかり合う音のあと大きくマルチェロが吹っ飛ばされる。
これはマルチェロに対しては決定打にはならなかった。

つかの間、マルチェロの意識がブラックアウトする。
だが本当につかの間であり、次の瞬間には思考を取り戻していた。
強打した体を起こす。
しかし、そこには先程までいた3人の影は無かった。

アレンはローラを抱きかかえるようにしてその場を離れ、
小さな路地に入り、そのままローラを自身の後ろに隠す。

アレンは先程までの迷いを捨て、新たな敵をどうするかに思考を切り替える。
相手の洗礼された動き、上級魔法の行使を考えると一端引いたのは間違いではない。
まず、アレンは火球を弾くときに負傷した自身の火傷の確認をする。
……動けないわけでなはい。
魔力が少ない分、今は回復呪文は使わないことにした。

次に相手がどう出るであろうか思考を巡らせる。大方予想がついた。
向こうもそれなりに魔力を消費しているのだろう。
ならば奇襲はともかく、普通の戦闘ならばなるたけ魔力の消費を抑えたいと考えている筈だ。

つまり、必ず向こうは剣での接近戦を挑んでくる。
魔法を撃ってきたとしても確実に当たる近くでおこなってくると考えていい。
それならばとる行動は一つ、出来るだけ離れる事だ。

アレンはちらりと後ろを見る。
そこにはアレンのマントを掴んでいるローラが居た。
 
 
 
よくみると、その男は隻眼だった。
真新しい傷だ。ほんの少し前に付けられたような傷。
彼の眼がここで傷つけられたものだと分かった。

折れた剣を手にしていた。
禍々しい殺戮を好むような、そんな剣。
ローラにも分かったのだろう。
マルチェロが呪われた剣を装備していることが。

「あ、あの……」
「黙っていてくれぬか」

アレンはローラが言わんとしている事をあえて言わせなかった。
相手はもしかしたら呪われた剣に操られているのかもしれない。
ローラはそう進言しようとしたのだろう。
たしかにアレンが見ても、あの剣が呪われている事はすぐに分かった。
と、同時に、マルチェロがその呪いとは違う狂気を帯びているのも分かった。
多分、あの者は自らの意思で動いているのだろう。

ならばどうするか、答えは簡単だった。
アレンはマルチェロに目線を戻す。
一度何か言おうとして止めた。
しかし、一拍置いてからまた話始める。

ゆっくり、アレン自身がその言葉を確認するかのように、

「ワシの事を信用してくれと言う方が無理かもしれぬ。
だが、これから言うことだけは出来れば従って欲しい。

先程のところにトルネコという者がおる。その者に会いに行け。
そこに居るファルシオンという馬が案内をしてくれるはずだ。
迷わずにいけるであろう。
そして、トルネコに今ここで起きている事を話すのだ。
どうするかはお主達が決めるがよい。

……できるか?」

そう、言った。

これはアレンにとってある種の賭けだった。
もしかしたらローラはアレンを信用せず、別の方法を取るかもしれない。
そうなればこの場は何とかなったとして、
この先他に彼女を傷つけんとする者がまだ居た場合、とても危険である。
アレフとのこともある。
だが、自身の為にも彼女には生きていて欲しい。
アレンはそう願っていた。

ただ、ローラと会ってからこの瞬間までの後悔の度合いはとても言葉に尽くし難い。
もちろん、分かっているつもりだった。
過ぎ去った過去というものはどうしたって修正が効かないものだ。

だが、彼女のもつ陽だまりのような暖かい心に期待するしかなかった。
 
 
 
ほんのつかの間、ローラは押し黙っていた。
アレンはその答えをだた待つしかなかった。
掴んだアレンのマントを強く掴む。
マントのしわが更に濃くなった。

「――わかりました。
竜王さんは元々悪い方ではありませんわ。
信用するもしないも、するに決まってます。

確かに、一度竜王さんは光の道を拒みました。

でも、今のあなたは私を助けて下さいましたでしょう?
私にはそれで十分です」

時が止まる。

その言葉を聞いたとき、アレンは自身の鼓動が一つ大きく動いたように感じた。
いくら贖罪を重ねても償いきれるものではないと思っていた罪が一つ、許されたかの様だった。
雲の切れ間から光が伸びている、そんな感覚。
そんな場合ではないと分かっていても笑みが零れた。

そして、ローラは続ける。

「……それに、ゴンさんもとてもいい方でした。
私を、最後まで護って下さいました。

そんな方の主を疑うなんて馬鹿げてますもの、ね」
 
 
そう、優しく、強く、話す。
語尾のほうの声はどうも湿っぽかった。
無理にでも涙を堪えているんだろう。
アレンからはローラの表情こそ見ていないが、そんな気がした。

そこでアレンは思う。
ゴンをローラの元に置いたのはほんの短い間だ。
それなのにこうも心を痛めている。
その優しさにアレンは改めて驚かされた。

そしてもう一つ驚かされたのは、ゴンのことだ。
つまり、自らの配下であった竜は彼女を護り、そして死んでいったのだ。
知能も高かったが竜としてのプライドも高かったゴンが、
彼女を身をていしてまで護ったことが意外だった。
しかし、ローラならそんなこともありえるかもしれない。

――そういえば、この地で最初に会った男もまた互いに初見だった。
その優しさを持って、竜王だった自分との勝負に勝った男。
容姿はアレフによく似ていると思っていた。
だが、その心はローラのモノだった。

不思議な縁だと、アレンはつくづく思う。

「ならば急げ。
次はローラ、お主を護りきれる自信はない」
「……はい」

聡明な、凛とした返事だった。
ローラはずっと掴んでいたマントを手から離し、
今度はその手でファルシオンの手綱を握る。
ファルシオンも先程の会話を理解していたかの様にその足は宿屋に向いていた。
最初はゆっくりと、段々はやく。その場を去ってゆく。
しかし、その途中で立ち止まりった。
アレンが疑問に思い、彼女の方をちらりとみる。

ローラは小さめの声で質問する。

「あの」
「何だ、急げ」
「……大丈夫ですよね?」

それは、その前に彼女とともに居た者のことも指していた。
だがアレンにそれは分からない。
だた、その解答に彼は当然だと答える。
ローラはその答えに複雑な表情を示し、早足に駆けて行った。

絶対ではない。そのことはローラにも分かっているのであろう。
それをアレンは横目で見送ると、その視線をマルチェロに切り替えた。
未だにこちらの位置には気づいていない。

ローラがトルネコの元に無事に着くことを祈りながら、
アレンは次の行動を考えるのだった。


確実に非力な者から殺していこう。
そう考えて、マルチェロはローラを狙った。
しかし、妙な邪魔が入った。

物陰から見ていたせいであろう。
マルチェロはアレンに気づけなかった。
何度も襲撃に失敗しているので慎重にやったつもりだったが、
思わぬマヌケなミスだった。
それがマルチェロにとって腹立たしくてしかたない。
小さく舌打ちをする。

しかし、コンセプトは間違ってない筈だ。
どうにかして女と側にいた魔物を引き剥がそう。
そう考えていた。

その眼がギラギラと輝いていた。
人を貶める策略を、嬉々として考える。
そういうとき、人の眼は狂気を帯びて輝く。
口は開かなくても眼は万物を語る。

実は今回のアレンとの接触でマルチェロは一言も喋らなかった。
マルチェロは思う。当然だ。
これから殺す相手に話しかける必要性もない。
そう、いままでが可笑しかったのだ、と。

マルチェロは思い返した。
思えば、トロデに対しては嫌に饒舌だった。
しかし今は何故、とは考えない。
思考は新たなる敵の次に起こす行動に向けるべきだ。

今度こそ仕留める。

その瞳は冷静さを保ちつつも、たしかに狂気が宿っていた。


【E-4/アリアハン城下町裏路地/朝】

【アレン(竜王)@DQ1】
[状態]:HP1/5 MP1/8
[装備]:さざなみの剣
[道具]:なし
[思考]:今後どうするか考え中 この儀式を阻止する アレンの遺志を継ぐ

【E-4/アリアハン城下町裏路地/朝】

【ローラ@DQ1】
[状態]:HP3/4 火傷  気丈な決意
[装備]:光のドレス 雨雲の杖
[道具]:ロトの剣 炎のブーメラン 支給品一式
[思考]:トルネコに状況を伝える アレフを探す エイトが心配 ゲームを脱出する

【E-4/アリアハン城下町大通り付近/朝】

【マルチェロ@DQ8】
[状態]:左目欠損(傷は治療) HPほぼ全快 MP1/3
[装備]:折れた皆殺しの剣(呪い克服)
[道具]:84mm無反動砲カール・グスタフ(グスタフの弾 発煙弾×2 照明弾×1)
[思考]:ローラとアレンを引き離しローラを殺害する(既にバラバラなのには気づいていない)
ゲームに乗る(ただし積極的に殺しに行かない) 可能な限り情報の獲得を行う(喋らせてから殺す など)


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