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痛恨のバズズ

痛恨のバズズ


登場人物
バズズ、トルネコ、バーサーカー、ベリアル(声)、アトラス(声)


バズズはアリス達を執念を燃やしながら追い続ける。
しかし獣並みの脚力を持っているとはいえやはり馬の速度に追い付くのは辛い。
「まぁいい。この方向だと奴らは真っすぐにアリアハンに向かっているな。
 わざわざ俺様の担当区域に逃げるとは手間が省けるというものだ」
街の中ならば身を隠す場所は幾らでもある。
アリスの身体能力と呪文は脅威だが、碌な武器を持っていない現状ではゲリラ戦で攻めれば
勝機は高い。
そんなことを考え、体力を温存する為に活き足を遅くすると南方から雄叫びが聞こえてきた。
「ぃぃぃぃぃいいいやぁああああ」
聞き覚えがある。これは……。
「ギャァアアアッ!!」
「バーサーカーか!?」
バズズは近付いてくる影の正体に思い当たった。
(これはいい。ハーゴン様配下の魔物、手駒にしてあのメス餓鬼を襲わせよう)
そう考えバズズはバーサーカーの目前に躍り出る。

「おい待て! バーサーッ「ギィァアアアア!!」

ス パ コ ォ オ オ オ オ オ ン !

バーサーカーは急に止まれなかった。
バズズは盛大に撥ね飛ばされ、近くの気に顔面から激突する。
「ぶぎゃ」
「ギ?」
そこでようやくバーサーカーもバズズの存在に気付いたようだ。
今し方自分が轢いた相手をしげしげと見つめる。
バズズは鼻を真っ赤にして左手で鼻血を抑えながら怒りに震えた。
「キ……キキ……キィサマァ……俺が誰だかわかって……」
「ギィア!」

ドゴォン!
 
 
バズズが言い終わる前に破壊の鉄球がバズズの耳を掠めて背後の木を粉砕した。
慌てて身構え、バズズは攻撃を回避しながら彼を説得しようとする。
しかし彼の誤算は彼の知能程度を把握していなかったことにある。
バズズにとってハーゴンと自分と同格であるベリアル、アトラス以外の魔物はどうでも良かったのだ。

「オイ、こら! 俺様の話を」ドゴォン!

「キサマが攻撃して」ドゴォン!

「待てコ」ドゴォン!

ブチッ

バズズは切れた。元々冷静さに欠ける性格である。
一方的に攻撃されて今まで抑えられていたのが奇蹟のようなものだった。

「キキィイイイイ!! 上等だぁあああ!
 キサマが一体誰を相手にしてるのか教えてやるぜぇ!」

バズズは叫び、イオナズンの詠唱を始めた。
ザラキでただ殺すのでは物足りない。。ヒャダルコで凍らせて砕いてやろうか。
メラミやベギラマで燃やすのはどうだ。いや、やはりここは粉微塵にしないと気がすまない。
その思考の末の選択である。

地力ではバズズはバーサーカーを遥かに上回っていた。
相手が強力な武器を持っているとはいえ、格闘だけでも充分に彼は相手を引き裂くことが出来たのだ。
しかし……バーサーカーを仕留めるのに呪文を使うことを選択したのがバズズの不幸だった。

「くぅらぁえぇええええええ! イィオォナァズゥン!!!!」

 キ ン

「あれ?」

バズズの目の前にはたった今放ったばかりの光球がある。
バーサーカーに向かって一直線に飛んでいたはずのそれは彼の構えていた盾に接触するや
自分に向かって跳ね返ってきたのだ。

「なんで?」

炸裂。

……その爆風に吹き飛ばされ、キラリと煌めきを残してバズズは空の彼方へと消えた。

バーサーカーはバズズが吹っ飛んでいった方向をぼーっと見ていたが。
やがて興味を失くすと再び獲物を探して走り始めた。
 
 
 
ひゅるるるるるるるる ぼしゃーーんっ

盛大な水飛沫を上げてバズズは近くの湖へと墜落した。
そしてその衝撃で目覚めた男が一人。
「ぶはぁ! い、一体……あ、あぶ、がぼぼお」
湖面に浮いていた小太りの男、トルネコは目覚めたショックで危うく溺れそうになりながらも
なんとか半死半生で岸に辿りつき、身をのし上げた。
水を吐き、呼吸を整えてなんとか現状を把握しようとする。
「ゲホッ、ハァ、ハァ、わ、私はそうか……水を飲んで助かったと思ったあと湖に落っこちて……」
そして気絶して浮かんでいたところに目の前の魔物が落ちてきたらしい。
トルネコは魔物をよく観察してみる。毒紫の毛皮に蝙蝠の羽を生やした猿のような姿。
以前経験したダンジョンで何度か見かけた顔である。
「フゥ、ふぅ〜む。完全に気絶しているようですな」
拾った小枝でツンツンとつついて確認する。
とどめを刺したほうがいいのだろうかと悩み、トルネコはぶるぶると頭を振った。

もしかしたら友好的なモンスターである可能性も低いながらある。
「とりあえず武器を奪って縛り上げるくらいが妥当ですかな」
氷の刃は落水した拍子に落としたのか湖面に浮いていたのですぐに拾い上げたが
炎の爪はしっかりと手甲として装着されていたので、刺激を与えないように取り去るのは難しかった。
とりあえず縛り上げてからにすることにして他に武器はないか調べていると
バズズの頭部に装着されたヘッドセットに気が付いた。
おそるおそる外してみる。するとバズズの頭部にあわさっていたサイズが縮小した。
「おお、これは……見たこともない道具ですなぁ」
とりあえず見様見真似で頭部に装着してみる。するとトルネコのサイズにあわせて変形した。
「ふむ、これは防具というには無防備すぎる。全く別の機能を有しておるようですなぁ」
トルネコはこの未知のアイテムに好奇心を動かされバズズそっちのけで調べ始める。
「この耳当てにボタンがついてますなぁ。どれ」
ポチっとトルネコはインカムのスイッチを入れる。
一瞬、ブツっと耳元で音がしたが後は何も起こらない。
「む? これは……」
もう一度押してみる。同じ結果に終わった……と思いきや今度は耳元から誰かの声が聞こえてきた。

『誰だ? 先程からスイッチを入れたり切ったりしているのは?』
『あ、アトラス違う。バ、バズズか?』

「うひぃ!」
突如として聞こえてきた声にトルネコはビックリして尻餅をつく。

『おい、バズズ。応答しろ、何か連絡事項か?』

(バ、バズズ?)
トルネコはチラリと気絶している魔物を見やる。
どうやらこの魔物の名前のようだが……。
トルネコはキョロキョロと辺りを見回した。周りには別に誰の姿も気配もない。
(ど、どこから話しているんだ……?)

『おい、どうした? まさかインカムの使い方を忘れたのか?
 仕様のない奴だ。アトラスでさえ覚えているというのに』
『へ、へへ。ベリアルにほ、褒められた』

どうやら相手はベリアルとアトラスという名で、このバズズという魔物と連絡を取っているつもりのようだ。
状況から考えておそらく相手の二人はこの場から遠く離れた場所にいる。
この額冠のようなアイテムは声だけを遠くはなれた相手に伝えることができるアイテムなのだろう。
トルネコはそれを悟る。しかしこれ以上怪しまれるのは危険だ。なんとかごまかさなければ。

『インカムのスイッチを押しっ放しにして話すのだ。相手が話している時は自分の声は伝えられんぞ』

(な、なるほど……)
トルネコは早速スイッチを押す。
「す、すまない。どうにも度忘れしてしまったようで……」
『フン、しっかりしろ。で、なんのようだ。アリスとかいう小娘は殺せたのか?』
(ア、アリス?)
名簿で見た名前を思い出す。このバズズはその少女を殺そうと追っていた最中らしい。
だがここでバズズが気絶しているということは……。
「い、いや、まだで……まだだ。追っている最中にヘマをして湖に落ちてしまったので
 この道具が壊れていないか確認を……」
バズズの口調がわからないので四苦八苦しながらだがなんとかこの場を乗り切らねばとトルネコは
もっともらしい嘘をつく。
『説明を聞いていなかったのか? ハーゴン様の呪術によりこのインカムには対魔、対衝撃、防水加工
 が施されている。少々の事では壊れはせん』
「あ、ああ。そうだったな……」
『どうした? なにか声が変だぞお前』
「い、いや! これは……その、そう! ダメージを受けていて少し声がしゃがれてしまったのだ」
『そうか、もうお前には万能薬はないのだ。せいぜい気張って任務を果たすことだな』
「そ、それはもう!」
『よし。こちらはもう既に2匹ほど殺した。1匹はまだ未確認だがあのサマルトリアの王子だ。
 貴様らもボヤボヤとしているとワシが全て手柄を取ってしまうぞ』
『ア、アトラスも……が、頑張る!』

ブツッ

何かが切れたような音がして声は完全に聞こえなくなった。
トルネコは先程の会話を思い出してブルッと震える。
アトラス、ベリアル、そしてバズズの3人はあの主催者ハーゴンの手下なのだ。
そしてその任務は参加者の皆殺し……。
「ど、どうしよう……もしかして私はとんでもないことを聞いてしまったのでは……」
「その通りだ」
声に振り向くといきなり殴り飛ばされた。
「ぐぎゃああっ」
地面に倒れながらも必死で身を起こしてみると、あのバズズが浅瀬に立ち上がっている。
(し、しまった! 縛っておくのを忘れていた!)
「キキキ、俺様のインカムで好き勝手喋ってくれてたようじゃねぇか……生かしちゃおけねぇな」
「ヒ、ヒィ!」
怯えたトルネコは必死に手に持っていた氷の刃をバズズへと翳した。
透き通った刀身から吹雪が迸りバズズを襲う!
「効くかぁ!」
バズズはその攻撃に全く痛痒を感じず、トルネコを嬲り殺そうと足を上げ……ようとした。

ビキッ

動かない。
「あん?」
見ると湖面が凍りつき、足を完全に固定してしまっている。
「し、しまった! まだ湖の中だった!」
慌ててバズズは足元の氷を砕こうと炎の爪を振り下ろすが、その前にトルネコに突き飛ばされた。

バキィ、バシャァアンッ

足元の氷は砕けたが今度は全身が湖水に浸かってしまう。
「いまだ!」
トルネコは再び氷の刃を翳してヒャダルコを放つ。

「う、うぎゃああああああああああああ」

ビキビキビキビキッ!

バズズは顔を残して殆ど全身を氷漬けにされてしまう。
もう一度トルネコが吹雪を放とうとしたところでバズズは呪文を唱えた。
「ベギラマァ!」
「うひゃぁあ!」
その火線をかろうじてトルネコは避け、そのまま一目散に逃走した。
「こ、コラぁ! 待ちやがれ!!」
バズズの制止の叫びが虚しく響く。
(待てと言われて待つ馬鹿はいませんよ、と)
トルネコは疲労を押して必死に走る。
当面の目的地は決まった。
バズズに狙われているというアリスという人に会って危機を伝えること。
そしてその他の戦いを望まぬ人々に3体の悪魔の存在を伝えることだ。
「ネネ、ポポロ、待っていろ。私は必ず生きて戻るからな」
決意を新たにし、トルネコはアリアハンへと向けて走る。
(まずは人が集まりそうな城へ行きましょう!)
 
 
 
一方、湖に氷漬けにされてしまったバズズは……。

「……く、あんの糞デブゥうううう! 今すぐに追いかけて臓物をブチ撒けてやる!」

……。

――結局脱出するのに二時間かかった。


【D-3/森林/午後】

【トルネコ@DQ4】
[状態]:HP1/2 軽い火傷 疲労
[装備]:氷の刃 ※無線インカム
[道具]:ワイヤー(焦げて強度は弱くなっている)
[思考]:バズズから逃げ出す アリアハンへ向かう
     アリスや他の参加者に危機を伝える

【C-3/湖/夕方】

【バズズ@DQ2】
[状態]:憤怒 HP3/5 MP3/5
[装備]:炎の爪 
[道具]:支給品一式
[思考]:トルネコ、アリス達を追い、殺す ゲームを成功させる

【D-3/平原/午後】

【バーサーカー@DQ2】
[状態]:足首に打撲
[装備]:破壊の鉄球 ミラーシールド
[思考]:闘争本能のままに獲物を求める


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