トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

二人の思惑

二人の思惑


登場人物
ピサロ(DQ4)、マリア(DQ2)、アレフ(DQ1)、エイト(DQ8)、アリス(DQ3)、フォズ(DQ7)、竜王(DQ1)


首輪を解除できれば勝てるものだと思い込んでいた。
しかしそうではなかった。
 
鐘が鳴った。
時計を見つめ、秒針が三周するまで待った。
 
放送が、無い?
 
三人が顔を見合わせる。
ピサロの口から溜息が落ちた。
 
 
「二階の娘たちを起こしに行ってくれないか」
ピサロが視線を投げかける。アレンは黙ってうなずき、その場を後にした。
皆を集めて話をするのだと思い至ったマリアが傍らで眠るエイトを起こそうとするのを、しかしピサロが制止する。
眉を寄せるマリア。その不審げな表情に構わずピサロは素早くペンを動かす。
 
――二人だけに関わる要件だ
 
(私たちだけに? それはいったい?)
マリアが続きを促すまでもなくピサロは続ける。
彼はいつになく険しい表情をしていた。
 
 
 
 
 
――覚悟が必要だ。
だがそれはここにいる者たちへの裏切りとなるかもしれない。
けれど決行しなければならないだろう。
 
ハーゴンはこの世界を放棄するつもりでいる
 
直観に過ぎないかもしれない。それでも考えられる最悪のケースは、ここで残った命の全てが失われることだ。
我らの目的は「ハーゴンの抹殺」
そのための条件は「最大限の戦力を確保した上で、この世界を脱出すること」
首輪を解除を急ぐ必要がある。いつ爆破されてもおかしくない危機的状況だ。
ここが禁止エリアになるかもしれない。放送こそされなかったが、その恐れはある。
一定時間ごとに増えていく仕組みなのだからそうシステム化されている可能性は高い。そこにハーゴンの意思は必要ない。
そうなれば全滅だ。だから、できる限り、首輪を解除しておきたい――
 
 
(もちろん、言うまでもないことだわ)
そんなこと既に分かりきっている。そのための術はもう完成されたのだ。
なのに、彼らしからぬまわりくどい物言いだ。まるで、何かを模索しながら話を展開しているようにも感じられる。
だがピサロは、一呼吸だけを挟んで、続けた。
 
 
――今、全員の首輪は解除できない。2人残す必要がある
 
 
マリアは目を見開いた。
 
 
 
 
 
***
 
 
「むにゃ……。
 はっ! あ、アレ……むぐっ」
フォズが覚醒すると、目の前にアレンの顔があった。と、先に起き上がっていたアリスに口を塞がれる。
しぃ。と人差し指を口元に立てられた。指し示されるままに視線を移せば、そこはアレンの首元。
フォズは息をのんだ。
首輪がない?
自分はまだ夢を見ているのだろうか。
「一階へ降りましょう。既に放送の時刻も過ぎているようです」
そうか。私達が眠っている間に。
ピサロさん。この首輪を外す方法を見つけたんだ……?
すごい。あまりの出来事に胸がいっぱいになってしまう。
溢れそうになる思いが声になってしまいそうなのを必死に抑えた。
 
 
「放送は……」
三人が階下へ降りると、アレフとエイトも起きていた。
「それについては後だ。それよりも先に話したいことがある」
「なんだそれは。放送よりも大事なことなのか?」
「ええ……」
マリアが静かに促す。
二人の視線がアレンの首元に集まり、目を丸くした。
しかし盗聴を警戒する手前、誰も下手なことを口に出すことはできなかった。
全員の視線がピサロに向けられる。
 
 
――これから順に首輪を外していく
手早く一度に済ませたいところだが、なるべく同じ条件下で解除したい。1人ずつ、外に出てもらう――
 
ピサロが記す。
全員の間に緊張が走った。
最初に呼ばれたのは、フォズ。
その背を残りの者が不安そうに見送る。
 
 
「……大丈夫ですよ。あなたを信じていますから」
波動をその身に受け、マリアに杖を突き付けられながらフォズは祈る。
パキンと小気味の良い音がして首輪が落ちた。
簡単なものだった。
 
開け放した家の扉、その外からフォズが姿を現すと、皆ほっとした表情を浮かべた。
うっかりフォズに声をかけそうになったアレフが慌てて口を噤む。
そう、彼女はもう”ゲームの参加者”ではないのだ。
永らく自分たちの命を捕らえていた物。遂に、その鎖を解き放つに至った。
この忌まわしき呪縛から解放される。やっと――。皆がその喜びと期待に胸を膨らませていた。
 
「マリア、あなたなら大丈夫ですね。安心して任せられます」
「重い役割を背負わせてしまってすみません。貴方方に感謝の意を表します」
続いてアリス、その次にエイトが呼ばれ、首輪が外された。
ほっと胸をなでおろす。どれくらいぶりの解放だろうか。
いっそ虚脱感に近いような安堵感が、体中に広がる。
 
――次はお前だ。勇者よ
エイトが戻り、アレフがアレンに促される。
こくりと頷き、家をあとにした。
 
そして二人と対峙する。
ゆっくりと風が吹いていた。
「よろしく頼むよ」
そういつもの調子で軽く話しかけながら。
ふと。
アレフは不安を感じた。
それは首輪の解除が失敗したら、という類の恐怖ではもちろんない。
 
何だ? この違和感は。
 
目の前の二人の、笑顔にどこか混じる哀愁の香り。
えもいわれぬ焦燥感がアレフの胸を刺激している。
何かがおかしい。自分は、何か大きな思い違いを、していないか?
誰かの思惑に乗せられているような感覚。
アレフは想像する。
家の中には、首輪から解き放たれた4人。竜王・フォズ・アリス・エイト。
一方、残った”ゲームの参加者”は、自分と、マリア・ピサロの3名。
3名。
そして次はこの首輪が解除され、マリアとピサロの2名が残る。
そして……その後は?
どちらかがどちらかの首輪を解除して、
”ゲームの参加者”が1名になる……そうしたら?
……!
駄目だ、それはできない――
そして二人はそのことを知って――!
 
アレフは理解した。
それは自分の首輪が外れたのと同時で、もうすでに手遅れだった。
 
その瞬間、アレフの胸中を埋め尽くしたのは、怒りだった。ピサロの胸倉を掴みにかかる勢いで、突進する。
「ピサロ!! お前、何ということを!! 始めからこのつもりで!!」
「……ふ、悟ったか? お前ならば勘付く心配はないだろうと、最後に回したのだがな」
「!! なんだと!!」
「やめてください、アレフさんっ!」
頭に血が上り、いよいよ拳を上げて殴りかからんとするアレフを、マリアが制止する。
 
尋常ではない様子に、残っていた四人が、静かに、足音を殺して現れた。
「盗聴なら大丈夫だ。こいつはもうそんなこと考えちゃいない。
 それよりももっと、気づかなきゃならないことがあったんだ。こいつは、こいつは俺達だけを……くそっ!」
「……どういうことですか。マリア、これは?」
5つの首輪が落とされた地面。その場に佇む7人きりの影。
解放されたアレフが声を荒げてもピサロが何も言わなかったので、ゆっくりとアリスが疑問を口にする。
マリアは視線を逃げるように逸らしたが、はっきりとした声音で答えた。
 
「ゼロにはできないんです。首輪を。そうしようとすれば、1になった時点で終わってしまうから。
 だから。
 ”2人が生き残っていなければならない”んです。このゲームを続かせるために。時間を稼ぐために」
「それは……」
「方法がないんです。首輪を1にすれば、ゲームは終わり。優勝者はハーゴンに接触できるかもしれません。
 けれどそれでは間に合わない。終わったゲームの舞台は無用の長物。取り残された者たちはこの世界ごと棄てられる可能性もある」
「そんな……」
「放送が無かったんです。ハーゴンは半ば放棄しています。このゲームを。
 けれど鐘は鳴った。これは続いている、紛れもなく、続いているんです。
 その中で私たちは、可能な限り多勢でハーゴンに辿り着く方法を見つけなければならない」
「けど、どうして……」
「時間が惜しかった。2人が残っていなければならないと理解したとき、誰をそうするかなんて不毛な相談、出来るはずがなかった。
 だから彼と二人で決めたんです。術者である私たちがその役を負うのが妥当だと」
「じゃあ貴方たちは……」
「私たちだって、死ぬつもりはありません。ここに至っては盗聴の危険性は無視した方が有益だと考えました。ロスの方が大きいんです。
 けれど、それでも盗聴の警戒を装ったのは、このことを、ハーゴンにではなく、貴方たちに、勘付かれたくなかったから。
 私たちが……死ぬ、とすれば、それは禁止エリアへの侵入かもしくは、24時間のタイムリミットがきたときです。
 でも貴方たちにはもう、その危険は、なくなりました――。ごめんなさい」
 
アレフはピサロを責めた。
勝手なことを、と。何故相談しなかったと。マリアの弁明を聞いて尚、そのように責めた。
マリアまで巻き込んで、こんな、互いの命に境界線を引くような真似をして。そうあふれかえる思いをぶつけた。
対してピサロの態度はどこまでも冷やかで落ち着いていた。
見誤るな。我らの目的は一つだ、互いの足を引っ張るような連帯なら無くなって然るべき。
このように2人を選定したのも、最初に言ったとおり同じ条件で解除を実施したかったから。
術者が首輪から解放された状態でこのゲームの理に介入できる確証がなかったからだと。
真にピサロは嘘偽りなく述べた。しかしアレフにはこじつけにしか聞こえなかった。
 
 
日が陰り、空は幾度目かの闇を纏っていく中、生温い風がやるせない思いに打たれた各々の頬を撫ぜていく。
解放された5人の戦士と、未だ捕らわれし2人の”参加者”、24時間という限られた時。
残ったのは、大きな希望と、やるせない感傷だった。
 
 
 
 


【E-4/アリアハン城下町宿屋跡/夜】
 
【ピサロ@DQ4】
[状態]:HP1/2 MP3/5 右腕粉砕骨折(固定、治療済み)
[装備]:鎖鎌 闇の衣 アサシンダガー
[道具]:支給品一式 首輪×5[首輪二個 首輪(分解) 首輪×2] ピサロメモ 宿帳(トルネコの考察がまとめられている)
[思考]:ハーゴンへの復讐 世界からの脱出方法を模索
※ピサロの右腕は通常の治療では完治できません。
 また定期的な回復治療が必要であり、治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし、悪化します。
 完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です。
 
【マリア@DQ2ムーンブルク王女】
[状態]:健康 MP2/5
[装備]:いかずちの杖 布の服 風のマント インテリ眼鏡 鉄の杖
[道具]:小さなメダル アリアハン城の呪文書×5(何か書いてある)天馬覚醒の呪文書  
[思考]:儀式の阻止 アリスを支えたい 最後の決戦の前に、アレンの最期のことを竜王本人に問う
 
【アレフ@DQ1勇者】
[状態]:HP5/6 MP4/5 左足に刺傷(治療済み) 首輪なし
[装備]:ロトの剣 ロトの盾 鉄兜 風のアミュレット
[道具]:支給品一式 氷の刃 消え去り草 無線インカム
[思考]:このゲームを止めるために全力を尽くす
※左足の傷はとりあえず塞がりましたが、強い衝撃を受けると再び開く可能性があります。
 
【エイト@DQ8主人公】
[状態]:健康 MP1/7 首輪なし
[装備]:メタルキングの槍 はやてのリング 布の服(アリス家から調達)
[道具]:イーグルダガー 支給品一式 無線インカム
[思考]:悲しみを乗り越え、戦う決意
 
【アリス@DQ3勇者】
[状態]:健康 MP2/5 首輪なし
[装備]:メタルキングの剣 王者のマント 星降る腕輪 
[道具]:支給品一式 ロトのしるし(聖なる守り)炎のブーメラン 
    祈りの指輪(あと1.2回で破損)
[思考]:仲間達を守る 『希望』として仲間を引っ張る
 
【フォズ@DQ7】
[状態]:健康 MP4/5 内臓に軽症(治療済み)神秘のビキニの効果によって常時回復 首輪なし
[装備]:天罰の杖  神秘のビキニ(ローブの下) ルビスの守り(命の紋章)
[道具]:支給品一式  アルスのトカゲ(レオン)奇跡の石 脱いだ下着 ドラゴンの悟り
[思考]:ゲームには乗らない ピサロとともに生きる 5つの紋章についてマリアに話を聞く
 
【竜王@DQ1】
[状態]:健康 MP1/3 人間形態 首輪なし
[装備]:竜神王の剣
[道具]:外れた首輪(竜王)
[思考]:この儀式を阻止する 死者たちへの贖罪 脱出方法の模索
 


<<BACK [ 本編一覧 ] NEXT>>


-Aqua System 2007-