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彼の悲劇

彼の悲劇


登場人物
リュカ、バーサーカー


「許せないな……こんな殺し合いをさせるなんて」

リュカは義憤に燃えて森林を歩いていた。
名簿を見るとあの薄暗い会場では判らなかったが、妻のビアンカと勇者である我が子、
かつてお世話になった資産家の娘フローラも参加していることがわかった。
「この世界のどこかにいるはずだ。なんとか合流して守らないと」
そして参加者の中にはリュカの知っている者がもう一人。

ゲマ。

光の教団の教祖イブールの手先にして父の仇。
ゲマはエビルマウンテンでの決戦で完全に滅ぼしたはずだった。
「もし本当に甦ったのなら……今度こそは」
決意を胸に秘め、彼は森を進む。
支給品は既に確認していた。入っていたのは杖が三本。
光弾を当てた場所まで移動する飛びつきの杖。
光弾を当てた物体を引き寄せる引き寄せの杖。
光弾を当てた物体と位置を入れ替える場所替えの杖。
使い方次第ではそれぞれ役に立ちそうだった。
だが直接武器として使えるアイテムはない。当分は敵と遭遇したら呪文で対応するしかない。
なるべくなら説得で対応したいが、そう上手くいく相手ばかりではないだろう。
そんなことを考えているとき、ふと足を止める。
「何か、来る?」
前方から急速に何者かが雄叫びを上げながら走ってくるのがわかった。
「ギギギギギギギギギギギギ……ギャア!」
「モンスター!?」
現れたのは顔全体に墨取りを施し、シャーマンのような衣装を身に纏った男だった。
両手には鉄球と剣を携えた男――バーサーカーは真っすぐにリュカに迫る。
「待ってくれ! 僕に戦う気はない!」
そんなリュカの言葉も意に介さずバーサーカーは右手に持つ武器を振るった。
鎖で繋がれた鉄球が唸りを上げてリュカへと襲い来る!
「くっ!」

ドゴォン!

咄嗟に回避するが鉄球は地面を直撃し、粉塵を撒き散らして大穴を空けた。
「これは? 破壊の鉄球か!?」
リュカはその武器を知っていた。
かつてエビルマウンテン付近の毒沼に隠されていた洞窟で見つけたことがあったのだ。
見た目普通のモーニングスターだが凄まじいまでの破壊力が籠められており、攻撃範囲も広い。
有効な武器も防具もない状態で、この武器を持つ相手と戦うのはかなり危険だった。
(そうだ! さっきの杖!)
先ほど確認した杖を使えばこの状況を切り抜けれると、リュカは注意を一瞬自分のザックへと
向けた……その時。
リュカの視線の先からザックは無くなっていた……自分の腕ごと。

「え?」

爆砕音が響き、リュカの後ろで大木が破壊される。
リュカがバーサーカーから注意を逸らした一瞬、破壊の鉄球がリュカの腕をもぎ取り
大木に直撃したのだ。

「ぐぅああっ!!」

鮮血が噴出す右腕を押さえ、バーサーカーを見ると再び破壊の鉄球を振りかぶったところだった。
「く、そ! こんな所で……死んでたまるものか!」
自分には護らねばならない人がいるのだ。
彼らを置いて自分一人だけ先に死ぬわけにはいかなかった。
バーサーカーが鉄球を振り下ろす前にリュカは呪文を唱える。

「バギクロス!」

荒れ狂う真空の刃が渦を成してバーサーカーに襲い掛かる。
バーサーカーはそれを悟ると鉄球を降ろし、左手の剣を振るった。

剣から輝きがほとばしり、バーサーカーの前に光の壁を作り出す!

カッ!

なんとその壁は呪文を受け止めるとリュカへと向かって威力を跳ね返した!
「なんだって!? うわぁああああああああ!!!!!」
自らの放った呪文によってリュカは全身をズタズタに切り刻まれる。
血煙が舞う中、リュカの脳裏には愛しい家族や仲間の姿が映し出されていった。
そして地面に叩きつけられた瞬間、最後に浮かんだのは愛しい妻の笑顔。
その笑顔を思い出し、リュカはカッと目を見開いた。
「僕はまだ、死ぬわけにはいかない!」
決生の覚悟で立ち上がり、バーサーカーの姿を探す。
ビュゴウと風切り音がして振り向くとそこには視界いっぱいの鉄球があった。

それがリュカの見た最期の映像だった。
 
 
 
 

グシャ


【E-2/岬の洞窟付近の森/朝】

【バーサーカー@DQ2】
 [状態]:健康
 [装備]:破壊の鉄球 さざなみの剣
 [道具]:なし
 [思考]:闘争本能のままに獲物を求める

※バーサーカーは装備品以外の支給品をE-2に放置しました。
  リュカの支給品もまたその近くに死体と共に放置されています。
  (リュカのザック:支給品一式 引き寄せの杖(5) 飛びつきの杖(5) 場所替えの杖(5))

【リュカ@DQ5主人公 死亡】
【残り42人】


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