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彼方からの呼び声

彼方からの呼び声


登場人物
アレフ(DQ1)、ピサロ(DQ4)、フォズ(DQ7)


―― ……ォズ……フォズ……わた……声が聞こえ……すか?

私を呼ぶ声がする。
とても澄んだ、優しい声。
そう、まるで母に呼ばれているような……

――フォズ……フォズ……私の声が聞こえますか?

深いまどろみの中から私の意識が急速に浮かび上がるのを感じた。
うっすらと瞼を開くと、そこは海の中と錯覚するかのような一面の蒼い世界。

夢だ、と私は思った。

私は今ピサロさん、アレフさんと共にナジミの塔の頂上にある部屋にいるはずなのだから。
そういえば……あれからどのくらい経ったのだろう?
ぼんやりとしていると再び先ほどの声が聞こえてきた。

――フォズ、聞こえますか? 私の話を聞いてください

周りを見渡して声の主を探してみるけれど、見えるのは一面の蒼ばかり。
姿の見えないあなたは誰ですか?

――私は精霊ルビス。あなたの身につけるルビスの守りを通して語りかけています。

私は自分の胸元に下げられた首飾りに目を移す。
眠りに着く前、サマンサさんの持ち物をいくつかアレフさんから譲り受けたのを思い出した。
この首飾りはその一つで何らかの力は感じたものの使い道のわからないアイテムだった。

――それはかつて私がロトの末裔に与えたアイテム。邪悪なるもののまやかしを打ち破る力を秘めています。
   私はその守りを通じて感応力の高いあなたに呼びかけているのです。

精霊。破幻の力……あなたは……神?

――そう呼ぶ者もいます。しかし私は万能ではなく今のあなた達を救うことも加護を与えることもできません。
   私はあなた達のいる場所に近づくこともできないのです。

その言葉に私は震える。
神の加護がなければ私たちは蘇生することができない。
たとえ首輪を外して回復呪文の制限が解かれたとしても、死んでしまえば……終わり。
そして今までこの世界で神の加護なく死んでいった人たちももう……生き返ることはないのだ。
神の力すら遮断するとは……それほどまでにあのハーゴンという者の力は強いのだろうか?

――ハーゴンの力は邪神シドーの闇の加護を得て、私の力を阻んでいます。

私たちにできることはないのですか? このまま悪に蹂躙されるしかないのですか!

――5つ…心の紋章を、刻み……さい……そ……れば私の守り……真の力を……

ルビス様、声が……5つの紋章とはなんなのですかっ?

――あなたは目覚めかけている……私との縁が途切れかけているのです……
   私は……あな……の……夢……だけ……

ルビス様!!

――あなたには……すでに命の紋章が……命を貴び慈しむ心が宿っている……残りの……
   マリアが全てを……かつて……レンが全てを心に宿した紋章を……

マリア。
確か名簿に載っている人だ。
その人が全てを知っているのですね?

――守りが真の……発揮す……私の力を送る事が……

世界がだんだんと白く染まっていく。
同時に体が上へと引っ張られていく感覚。
目覚めてしまう――!

――生きて……私の子ら……世界を――




「ルビス様!」

私は勢いよく身を起こした。
そこに見えたのはびっくりした顔で私を見るアレフさんと……
私に一度視線を向けた後すぐに顔を背けたピサロさん。
なんだかピサロさんはちょっと気分が悪そうだ。

「フォズ……君は精霊ルビスを知っているのか?」

やっぱり……ルビス様は確かに存在するのですね。

「いえ、でも夢を見ました。ルビス様はハーゴンの力に阻まれて私たちを救うことはできないそうです……」

そう聞いてアレフさんは不思議そうな表情を浮かべた。
まあ今の言葉だけで全てを理解できるはずもない。
私は今みた夢のことを二人に語って聞かせた。

「ルビスの守りか……精霊ルビスのことを知らない君がその名を知ったというなら……
 本当に夢を通してルビスが語りかけてきたのかも知れない」

 
私もあれがただの夢だとは思えなかった。
ダーマでの転職の儀のたびに神に祈りを捧げ、その祝福を冒険者たちに与えていた私は霊感が人よりも鋭敏だ。
その私が感じたところルビス様の霊格……いや神格はとても高く感じられた。

「ルビス様は一体どのような神なのですか?」

私はアレフさんに尋ねてみる。

「そうだな、一般には精霊として通じているけどその力は確かに神といって差し支えないだろう。
 俺の住む世界アレフガルドの創造主として神話と伝説に多く語られている。
 大地創造の神話と、かのロトの勇者に加護を与えた伝説が最も有名かな」

「アレフガルド……アレフさんと同じ名前ですね」

「ああ、最初の大地という意味らしい。俺の名はそれにあやかって名付けられた。
 今にして思えば過去に戻って親に思いとどまらせたいくらい大層な名だ」

そういって笑う。

「ピサロは聞いたことないか?」

ずっと黙っていたピサロさんは水を向けられ、仕方なさそうに口を開いた。

「伝承で名だけは聞いたことがある。遥か太古に海の中の神殿に住むという精霊ルビス。
 その程度だ。山の精霊だという記述も覚えがあるが詳しいことは知らん」

「なんだそれ」

なんだかアレフさんの話とは随分違う。
もしかしたらピサロさんの知るルビス様とアレフさんの知るルビス様は違う存在なのかもしれない。
私に語りかけてきたのはどちらのルビス様なのだろう。

再び胸に下げた首飾りを見る。
そこには5つの宝石が飾られていて、その内の一つが淡い光を発していたのでよく覗いてみる。
そうすると……そこにはハート型の紋章が刻まれていた。
他の宝石にはそのような痕跡はない。

これは……もしかしてこれが命の紋章だろうか?

「フン、精霊などあてにするだけ無駄だ。神も何者もな……結局己が己を救わねばならぬ。
 それよりも体の調子はどうだ。あれから4時間ほどが経ったが」

「え?」

そういわれて気づいた。
そうだ、私はアレフさんの治療をしていたはず。
それが夢を見ていたということはいつの間にか寝入ってしまっていたのだろう。

「す、すみませんアレフさん! 傷の具合は――」

「おいおい、今は君が訊かれていたんだろ? 大丈夫、奇跡の石があったからね。
 一眠りして魔力も大分回復した。ピサロも同様だよ」

アレフさんは笑って奇跡の石を私の手に乗せる
振り向くとピサロさんも小さく頷いた。
私は……息も苦しかったはずが大分楽になっている。
脇腹と胸の痛みもなくなってはいないけれど、前ほど呼吸に苦労することはなかった。
本来睡眠は6〜7時間も取れば充分なのだ。4時間ほどでも魔力は6分ほどは戻っているようだった。

「ピサロさん、ありがとうございます。もう大丈夫です、本当に――」

「構わん。足手まといがいるとこのさき迷惑だという、それだけの話だ」

その言葉にアレフさんは微笑をもらした。
私も釣られて小さく笑ってしまった。
それが気分を害してしまったのだろうか、ピサロさんは舌打ちすると立ち上がる。

「ダメです! あなたはまだ腕がっ」

「この先どれほどの時間を掛けたところでもう私の腕は治らん。これ以上の治療は時間の無駄だ。
 動けるようになったのなら私たちもアリアハンへ向かうぞ」

「ああ、ちょっと待ってくれ」

アレフさんはそういうとザックをなにやら探っている。
そして黒い短剣を取り出すと鞘ごとピサロさんへと投げた。
ピサロさんは危なげなく片手でそれを受け取る。

「片手じゃ鎖鎌は辛いだろう。この剣は約束があるから渡せないが、それは元々お前のモノだからな」

「フン」

それはかつてピサロさんがアレフさんを刺した因縁の刃。
ピサロさんは皮肉げに唇を歪めるとそれをベルトに差し込みました。

「それとフォズ……オレたちは先に部屋を出るからこれを着るといい。説明書を読んだがフリーサイズというから
 君でも着られる、と思う。効果も抜群だ」

「え、これは!」

アレフさんがそういって渡してきたのは……その……なんというか……水着、だった。
しかも上下に分かれたいわゆるビキニというもので、それは、そう私も女の子ですからたまに流行の服などに興味を持ったりはする。
けれどこれは……ちょっと危ないデザインではないでしょうかアレフさん……。

「アレフ、お前……」

 
「いや、違うからな? そういうんじゃないから。別にフォズにその格好で歩き回れとか言ってないから!!
 今着てるローブの下に下着代わりに着こんで行けばそれでいいんだ。身につけるだけで治癒効果があるんだったら
 使わない手はないだろう? な!?」

「確かにそうだが……それなら何故もっと早く出さない?」

「なんだ、着たかったのか?」

先ほど渡されたばかりのダガーを無表情にピサロさんは抜刀する。

「待て、悪かった。いや、眠りにつく前に道具整理をしただろう? あの時に気づいたんだ。
 ルーシアの……この世界に来てからの俺の連れが持っていた道具だ。
 その時渡そうかどうか悩んだんだが、迷っているうちに渡しそびれてしまった」

アレフさんが慌てて釈明する。
でも、なにか私がこれを装備するのをもう断れないような流れになってる気するのだけれど。
ピサロさんはダガーを鞘に戻すと私を見た。

「私たちは外に出る。身に着けたら来い」

そういって早々に階段へ向かった。
私は今、自分の顔が真っ赤になっていることを確信しながらも頷くことしかできなかった。

+++

仔細は省略。
私が身支度を整え、ピサロさんたちと合流すると塔の外へ降りた。
広大な内海を目の前にしてアレフさんが問いかける。

「アリアハンへは地下からしか行けないぜ?」
 
「おまえが目覚める少し前、アリアハンで大きな魔力が幾度も弾けたのを感じ私は目覚めた。
 位置はおおよそしか解からないがそれが城の周辺で起こったものならおまえの言う崩れかけた入口とやらは危険だ。
 すでに崩れ落ちている可能性がある。そうなればそこで立ち往生するしかない」

「何? なぜそれを黙っていた!」

「言ってどうなるものでもあるまい。何が起きていようと私たちは間に合わぬ。
 悪戯にお前たちの焦燥を煽り立てるつもりはなかった」

確かに。それを聞けば私は動揺したかも知れない。
アレフさんも飛び出していったかも知れない。
それでもし地下の入口が塞がれていたら私たちがアリアハンへ辿りつくのはきっとずっと遅くなっていただろう。
それが解かったのかアレフさんは忌々しそうに頭を振るとため息をついた。

「糞! それでどうするつもりだ? まさか泳いでいくわけじゃないだろう」

私はピサロさんが呪文を唱えるために魔力を高めているのがわかった。
それで何をするつもりなのか理解できた。

「そうか、氷結呪文で水を凍らせて道を作るのですね?」

「違う。ここから向こう岸までの水を私たちが乗っても割れないほどの厚さで凍らせるとなると
 せっかく回復した魔力をほぼ限界まで振り絞らねばならん。それは得策ではない」

間違っていた。
ちょっと恥ずかしい……。

「あまり使いたくない呪文なのだがな……今は致し方あるまい」

そういうと高速で呪文を唱え、魔力を展開する。
いつ見てもとてつもない技量だと思う。
 
「ドラゴラム!!」

鍵となる呪文が高らかに響き渡り、ピサロさんは漆黒の巨竜へとその姿を変えた。
呪文の存在はしっていたけれど実際に目にするのは初めてだった。
魔物ハンターとドラゴスライムの職業だけが覚える竜化の呪文。

「呪文ってことは正体が竜、ってなわけじゃないのか?」

「は、はい。かなりの高等呪文なので使える人はとても限られていますが……」

アレフさんは珍しげに黒竜を眺めます。

『アマリ驚カンノダナ……』

「おまえより巨大で強力な竜を知っているからな。驚いて欲しかったか?」

『クダラヌ』

「それにしても本当に泳ぐつもりだったとはな。向こう岸につくまで変化は保つのか?」

『戦闘行動ヲ取レバソウ長クハ竜デハイラレン。戦闘終了ト同時ニ竜化はトケテシマウ。
 ダガソウデナケレバ対岸ニツクマデクライ保ツダロウ』

ピサロさんはゆっくりと身を伏せると私を見た。

『乗レ。今ハ無礼ヲ許ス』

「は、はい! ありがとうございます!!」

私はピサロさんの体をよじ登り、背中に座り込む。
アレフさんから頂いた水着のおかげか、大きく動いても体に痛みはなかった。
恥ずかしいけれど、とてもいいものを頂いたと思う。
そのアレフさんも私に続いて背に登ろうとした時――竜の尻尾がぶるん、と振られた。

「あ」

「どわぁっ!?」

ぼっしゃーん
アレフさんはピサロさんの尻尾に振り払われて水の中へと落っこちてしまった。

「何をするんだ!!」

『オ前ヲ乗セルトハ言ッテイナイ。泳ゲ。尻尾程度ナラ掴マルコトヲ許シテヤル』

「な!?」

アレフさんは岸に上がると怒りの形相でピサロさんに詰め寄ってきます。
ですが――

『文句ガアルノカ? ソウ言エバ回復シタライツデモ相手ニナルト言ッテイタナ』

ピサロさんが哂うように口から火炎を漏らす。
それを見てアレフさんの足が止まった。

「く、この(ボソボソ)め……わかったよ!!」

アレフさんは兜を脱ぐとザックへと放り込み、剣と盾も同じくザックへと入れました。

『デハ行クトシヨウ』

ああ、アレフさんごめんなさい。
私は申し訳なく思いながらも向こう岸につくまでアレフさんの無事を神に祈ることしかできなかった。


【E-3→E-4/ナジミの塔の島→アリアハンへ/夕方】

【アレフ@DQ1勇者】
[状態]:HP5/6 MP3/5 背中に火傷(治療済み) 左足に刺傷(治療済み)  上半身裸
[装備]:風のアミュレット
[道具]:支給品一式 竜神王の剣 ロトの盾 鉄の杖 消え去り草 無線インカム 鉄兜  上着など
[思考]:このゲームを止めるために全力を尽くす アリアハンへ
    (爆破阻止方法は実践してみたいとひそかに考えている)
※左足の傷はとりあえず塞がりましたが、強い衝撃を受けると再び開く可能性があります。

【フォズ@DQ7】
[状態]:HP3/4 MP3/5 肋骨にヒビ・内臓に損傷(半分治療済み) 神秘のビキニの効果によって常時回復
[装備]:天罰の杖  神秘のビキニ(ローブの下) ルビスの守り(命の紋章)
[道具]:支給品一式  アルスのトカゲ(レオン) 神鳥の杖(煤塗れ) 奇跡の石 脱いだ下着
[思考]:アリアハンへ ゲームには乗らない ピサロとともに生きる 5つの紋章についてマリアに話を聞く

【ピサロ@DQ4】
[状態]:HP1/2 MP1/2 ドラゴン化 右腕粉砕骨折(固定、治療済み)  無理な食事による地味な吐き気(時間経過で回復)
[装備]:鎖鎌 闇の衣 アサシンダガー
[道具]:支給品一式 首輪二個 ピサロメモ 炎の盾
[思考]:ハーゴンへの復讐 脱出方法への模索 アリアハンへ
※ピサロの右腕は通常の治療では完治できません。
 また定期的な回復治療が必要であり、治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし、悪化します。
 完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です。


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