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父よ、母よ、友よ

父よ、母よ、友よ


登場人物
アリス、ヒミコ


 それは地獄絵図。
四対の竜が、若き少女へと牙を剥く、その光景。
ぎらりと閃く牙、獲物を目の前にして唾液の滴り落ちる顎、そして爬虫類特有の瞳。
いやらしい笑みを浮かべているように見えるのも気味が悪くて。
何よりも、大きい。
その姿、小山の如し。
そして、そのバケモノと切り結ぶは勇者。
その姿、鬼神の如く。
「いぃぃぃぃやっ!!!!」
アリスが隼の剣を振るうが、大蛇の鱗を裂くは叶わず。
二筋の剣光は鱗を数枚散らせたに留まった。
「くっ…はっ!」
前方から迫る首に炎のブーメランを投げつけるが、あっさりと鱗に打ち払われて戻ってこない。
にたりと笑った顔が、腹立たしい。

「ぬるい、ぬるいわ!!ほれ、後ろに気をつけることじゃ!」
ハッとして振り向けば、其処には奈落のように底知れぬ大蛇の口腔。
閉じられた顎が、アリスのマントの端を喰い千切った。
「天地(あめつち)の精霊よ、魔を滅すその力 今ここに示せ─」
 
─サマンサが、教えてくれた呪文を紡ぐ。
彼女の事は小さな頃から、慕っていた。
母と祖父を除いて身内がいなかったアリスにとって、彼女は姉のようでもあり、いろいろな事を教えてくれる先生でもあった。
ああ、サマンサ。
せめてあなたは無事でいて、と祈ることすら今は出来ない。
蘇りし大蛇を、今ここで─
「─イオラッ!!」
「くっ!」
─倒さねば。

アリスの正義が大蛇ことヒミコを許すわけがなくて。
 白光の爆発が、周囲に炸裂した。
大蛇は直撃は免れたものの、爆風でアリスを見失う。
閉じられた顎は、空虚を食らうばかりだ。
「どこじゃ、どこに…」
「ここですよ」
大蛇の鼻面に、とん、と何かが立つ感覚。
あの一瞬で跳躍したアリスの手には逆手に握られた隼の剣。
「文字通り、目と鼻の先です、ねっ!!!」
「ぐぎぁぁぁぁぁ!!!!」

二筋の閃きが走ると、瞳を縦になぞる様に紅色が走った。
遅れて噴出す、濁った色の血。
眼を潰された一ツ首は、激しく鬣を振り乱しつつアリスを振り払った。
宙に投げ出されたアリスは軽やかな身のこなしで、草原に着地する。
 痛む体も厭わずに、剣を握りなおして下段の構え。
もがき苦しむ首に止めを刺さんと猛進した。
(一人では、一度に複数の首を相手にはできない…一点集中で、破る!!)
狙うは、喉。
鱗にはこの軽い剣が通らない。
首の下に滑り込む、そのはずだったが。

「調子に乗るでない、小娘!」
頭上から現れたのは、未だ健在の三ツ首の内の二つ。
二つの顎が大きく開くと、燃え盛る火炎が噴出した。
「ぐ、うっ!」
「ほれ、また後ろじゃ…くくく」
辛くも回避するが、背後からの声に振り向く。
残された一つの首が唸りを上げて、アリスの体を吹き飛ばした。

「がふっ!!!」
 背中から地に叩き付けられて、呼吸が瞬間止まる。
激しく咳き込んで、全身が軋んだ。
月光が照らす夜の世界が、ぐるぐると回って見える。

月が増えた?
と、思えばそれは迫る四ツ首の瞳。
後ろではニヤニヤと笑みを浮かべた残りの首が除いている。
左端が潰れた眼から血の涙を流してはいるが、獲物を前にした喜びにその痛みは無きに等しいのだろう。
かぱりと開いた口は、一口目を頭からに決めたようだ。
─ああ、このまま私は食べられてしまうのでしょうか?
でも。負けるわけには…

そんなとき、アリスが父から託された信じるべき言葉が力をくれる。

…父上。赤子の頃に聞いたとはいえ…覚えていますよ?

「正義は……勝つッ!!!」
「ぐ、がッ!?」

起き上がりざまの左拳が大蛇の下顎に食い込んだ。
メリメリ、と音を立てた後に顎の骨ごとカチ上げられて、大蛇の首が天を仰ぐ。
右手に握り締めた剣は、がら空きになった喉元に、深く、隼を模した鍔の装飾まで、突き刺さった。
「……ッ…ご……ごぼごぼごぼごぼ」
声にならない声が、大蛇の喉の奥から響く。
ずるりと剣を抜くと、口腔と傷口からどす黒い血液が噴水のように噴出す。
2,3回ほど痙攣した後に、ぐるりと目玉が裏返り、それきりその首は動かなくなった。

びちゃびちゃと降りかかる返り血など気にも留めずに、アリスは紅に染まった剣を諸手で構えて飛び掛った。
「どりゃあああああぁぁぁァァァ!!!」
「ォ…オ…おのれ小娘がァァァーーーー!!!
アリスの剣が、襲い掛かる二ツ首の額を捉えようと閃いた。
しかし、体が重い。腕が、上がらない。
言うことを聞かない体を叱咤しつつ、アリスは剣を振るった。

「ぐぅっ!!」
(─はずしたッ!?)
アリスの的を外した剣先が、首の一つ、そう先ほど目を潰した首の頬を、抉っていた。
宙に舞った彼女の体が、隙だらけになる。
「さあ、喰ろうてくれるわ!!」
「うあっ!!」
 懸命に身を捩り、アリスは牙を避ける。
しかし、すれ違った大蛇の口元には、アリスの鮮血がこびり付いていた。
「うあああああぁーーッ!!!」
叫びを上げたアリスの表情を見て、大蛇は途端に上機嫌であった。
くちゃくちゃと僅かながらの肉片を噛み締めて、大蛇はほくそ笑む。
「…く、く、く…うまし、うましッ!!!ああ、うまいうまい、どれほど望んだことか、この肉を、血を!!」
だらりと下がった二つの首を振り乱しながら、残りの三つが歓喜の咆哮を上げた。
その姿は滑稽であり、不気味であった。
 アリスの左腕は深く抉られ、血が溢れ出ている。
灼けるような痛みに、アリスは耐えていた。
─掠った、だけ…だったのに…!!
しかしながら、キッと相手を見据えてアリスは立つ。
袖を噛み裂き、右腕で傷口をきつく縛りつけた。
片腕で、剣を握り切っ先を向ける。

「…次は…頭から喰らおうかえ…?」
「…正義の鉄槌なら、喰らわせてあげましょうか」
「ほっほっほっほ!!!」
大蛇が高笑いを上げて、満身創痍のアリスを見下した。
より一層いやらしくなった笑みを向ける。
「ほんに、減らない口じゃのう…ほれ、悲鳴をもっと聞かせてみぃッ!!」
「くッ!」
巨躯に似合わぬ素早い動きで、アリスを踏み潰そうと振り下ろされる足。
巨大な足跡がその破壊力を物語る。
アリスは、初めて大蛇に背を向けた。
「ほお?逃げるのかえ?無駄なことを」
「…真の勇者が、途中で戦いを放棄するものですか!」
─とは言ったものの、現在アリスに手立てがあるわけではなかった。
この隙に痛む腕にベホマをかけて、和らげる。
そして考える、たった一人で奴を打ち倒す策を。
カンダタの、仇を討つ策を。
「猪口才な手を考えさせる隙は…与えぬ!」
「きゃああっ!」
 燃え盛る火炎がアリスの思考を濁した。
射程も威力も段違いの、強大な相手。
「ほれ、ほれ…逃げねば丸焼きになるぞよ?くっくっくっ…」
巨躯が飛び上がり、アリスの進路を塞ぐ。
 紡ごうとした閃光呪文も大蛇の炎により中断された。
唸る太い足に蹴飛ばされ、アリスは吹き飛ばされる。
「うぐぁ…っ」
地面に叩きつけられながらも転がって体制を整える。
だが、起きれない。痛みが動きを鈍らせた。
苦しみながらも、なんとか体を起こそうと手をついて顔を起こす。
その視線の先には。

「カン…ダタ……」

今はもう動かない、その男。
アリスは初めて会ったときから、何故か悪い印象がもてなかった。
確かに大悪人である、盗賊の上人攫いだ。
でも、あのときに何故か許してしまった。
─許す、ですって?
あの日サマンサが耳を疑ったのも無理はない。
悪を許さないことにかけては天下一の娘が、悪人を逃がした、ということに。
─何でそんなことをしたのです、あなたらしくもない。
─ま、いーじゃぁないさ。アリスも考えた結果さね。勇者サマのご決断には逆らわない、さねぇ。ほら、金の冠。
─いつのまに…
─盗り返しといたさぁね〜。
─…抜け目のない人ですこと…まぁ、あの様子ならカンダタ達も放っておいても構わないとは思いますが、ね…

あの時アリスがカンダタを許したのは。
どこか父の面影が、彼に見れたからだったのだろうか。
逃げていくときの広い背中が。
本当に幼い頃、母に抱かれながら見送ったその背中に。
もちろん、威厳以外、完全に外見評価だが。
父の姿を彼に重ねた結果だったのかもしれない。
「ごめんなさい…カンダタ…私が……ついていながら…」
仇を、討たねば。
震える手で剣を杖代わりに、立ち上がろうとした刹那。カンダタの姿が、消えた。
何が起こったのかわかるまでに少しだけ時間がかかった。
消えたのではない。
その躯の上に、巨大な足が圧し掛かっていたのだった。
見上げれば、そこにはニヤリと笑う大蛇。
「何ぞ、踏んだかえ?」
「……っ!!!」
アリスの心臓が、一際大きく鼓動した。
「ひょほ、ほ、ほほほほほほほほほ」
大蛇の高らかな笑いが響く。
アリスは、ぶるぶると拳を震わせていた。

「涙して、いるのかえ?泣いていいぞよ…わらわに取っては絶望も旨し糧!」
「泣いてませんよ」

そう、淡々と呟いた、直後に。
ドゴン、と巨大な地響きを立てて何かがめり込んだ。
大蛇は最初、自分の足音かとも思ったがその考えは打ち消される。
自分は、一歩も動いていない。では、何故?
答えは簡単だった。
三ツ首の内一つが、粉々に粉砕されていたから。
「………!!!!!」
頭蓋と呼べるものが粉微塵になっていて。
血と脳漿と涎などが入り混じった液体がじわじわと水溜りを作る。
「ぐ…ググ…」
皮膚は根元から重みに千切れかかっていて。
動かぬはずのアリスの左手に握られた破壊の鉄球が、完膚なきまでに一ツ首を打ち砕いていた。
「ギャアアアアアアアアアッ!!!!」
「泣きそうなのは…あなたでは?」

淡々と呟くその様は、静かな怒りに満ちていた。
アリスの、血の雫が垂れる左腕が、まただらりと下がる。
大蛇の残された二つ首が、アリスを飲み込もうと襲い掛かった。
燃え盛る火炎と共に、怒りの声が響く。
「おのれ…おのれ…おのれ…オのレおノれオノレぇェェーーッ!!!」

狂ったように炎を吐き、足を踏み鳴らす大蛇。
勇者はただ、ただ相手の首を狙う。
全身が焼かれようがもうどうだっていい。
ただ、ただ…
「あなたを、許さない」

炎から焼け焦げながら躍り出た、勇者。
残り二ツ首の内の、眼も健在の一つ。
丸呑みにしようとした顎に、アリスは剣を逆手に振り下ろした。
「う、おおッ!!!」
「が、グっ」
 ドズン、と世界を揺るがすような音と共に、オロチの頭は大地に縫い付けられる。
アリスは、鼻面に立ちながら指先をオロチの眉間に向ける。

「天よ、照覧あれ」
危険に気がついた眼の潰れた最後の首が戻ってくる。でも、そんなことはどうでもいい。
「闇に育まれし魔の子らに」
間に合わないと判断したか、何も見えないのか、自分の首ごと焼こうと炎を浴びせかけてきた。でも、そんなことはどうでもいい。
「光の裁きを」
アリスが開眼した。
見開かれた眼には、湛えられた涙。でも、そんなことはどうでもいい。
「来たれ、正義の雷       ─ライデイン」

焚き火の爆ぜたような音が響いたと思うと、大蛇の眉間には向こうの景色がきれいに見える穴が穿たれていた。
しゅうしゅうと傷口の焼ける匂いが鼻につく。
大蛇は何が一瞬、起きたのか解らなかったが、縫い付けられ断末魔をあげることも叶わず、やがて動かなくなる。
「残るは、一本ですね」
「お、の…れ……き、さま…」
瞳から血を流す、その一本。
アリスが最初に傷つけた、その首であった。
わなわなと震える顎をかぱ、と開いて突進する。
全身ボロボロである、今にも朽ちてしまいそうなその少女は。
けれどもその瞳の奥に燃える炎は潰える事は無く。
もう、自分で突き刺した剣を引き抜くことも忘れ、彼女は駆け出した。

「ヒミコォォォォォォォォッッ!!!!」
「ギシャアアァァァァァァァア!!!!」

厳かに振舞うのも忘れ、ヒミコは獲物に喰らいつく獣と化してアリスに牙を向ける。
血の匂いが彼女の位置を捉え、丸呑みにしようと大きな口腔が突っ込んだ。

バクンッ

「グガ…」
その牙はアリスを捉えることは…無く。
少女の鉄拳によってブチ折られ、無残にも宙に舞っているだけであった。
その鉄拳はメリメリと頬に食い込んでいて。
ぐらり、と傾いだ巨躯が、地響きと土煙を上げて倒れる。

「…いいですか…?この拳は、カンダタのぶんです…… ご立派な牙がへし折れたようですが…それはカンダタがあなたの牙をへし折ったと思いなさい」
煮えたぎるような怒りは、静かに、静かに言霊となって口から出て行く。
ためらいは無かった。
復讐染みているかもしれないが、アリスはこのままではたとえ大蛇を倒しても心に決着がつかないだろうから。
伏した大蛇の首に歩み寄る。
「そしてこれもカンダタのぶんですッ!!!」
「グブッ!!!」
振り下ろされた踵が正確に大蛇の額に命中し、割れて血が流れ出した。
もう、元気に噴き出るような状況ではないらしく、静かにどくどくと流れ出すだけだ。
「そして次のもカンダタのぶんです!! その次の次のも その次の次の次のも…… その次の次の次の次のも…」
「─────ッ!」

拳が何度も、何度も、何度も何度も何度も大蛇の顔を歪める。
大蛇は声を出すことすら出来ない。そんな隙は与えてもらえなかったから。
鱗は砕け、皮膚は裂け。アリスの拳からも血がボタボタと滴り落ちた。
鬼神、ここに至れり。
涙と血の入り混じり、ぐちゃぐちゃに歪んだ顔に怒りを漲らせてただただ打ちのめす。
どちらが魔物なのかが解らないほどだ。
「次の! 次も!カンダタのぶんだァァァァーーーーーーッ!!!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!」
もう誰も、止められないだろう。
アリスも、自分を止められなかった。

それから、半刻。
しばしの静寂の後、そこには満身創痍の少女が一人、見るも無残な姿となった、虫の息の女が一人。
二人の衣服は両方とも血で汚れていない部分を探すことは出来なかった。

時折吐き出される荒い息のみが聞こえる、奇妙に静かな空間。
やがて静寂を切り裂く様に、ぽつりとヒミコが呟いた。

「口惜しや…口惜しや……もう、一息で、喰ら、えた、ものを」
話す度にごぷりと吐血して、紅を引いたようになり、青白い顔も相成って死化粧のようであった。
アリスも立っているのがやっとなのか、反応を示せない。
「じゃ…が…うれしくも…あるぞ…」
「………?」
「こうして…最後に……」
草陰からゆらりと黒い影が伸び出てくる。
ヒミコの肩口から、傷だらけの大蛇が現れていた。
「隙を見せてくれてのぉ!!!!」

大蛇は、ヒミコは。
最後の牙を剥いた。
アリスは動かなかった。動けなかった。
ピクリとも、動けなかった。
指の先すら、動かなかった。

─ああ、もうダメなのでしょうか。
カンダタ…私…仇を、討てませんでした…

アリスが最後に思ったのは、父、母。

優しい思い出がいっぱいの時代が走馬灯のように頭に流れこむ。

─小さな頃から、女ながらも母から聞かされた父の事を思って生きていた。
剣を取り、呪文を学び、強くなる未来を望んで努力したのは全て父へ近づく、その為。
ある日、母に言われたことがある。「アリスは女の子なのに、女の子らしくしたいとは思わないの?」
しかし、アリスがこう言うと母はそれからは黙って笑顔で見守ってくれるようになったのだ。
「ははうえ、私はちちうえになりたいのです!おんなのこではちちうえになれません!」
子供の特権、勘違い。
母はくすくす、と笑ったので事情を聞いて真っ赤になったのを覚えてる。
同時に男に生まれなかったことに、ちょっとがっかりもした。
それからは、アリスは立派な父親になるのは諦めて父のような勇者になると誓った。
そう、彼女はただ父の背中を追っていた。
 そして母もそんな娘の背中を黙って押してくれたのだ。
馬鹿な夢、と笑わず。やめろ、と止めず。
魔王を倒すのは、苦しい旅と解っていても。
世界を救うためには、二度と帰ってこれないかもしれないとしても。
憧れの父と同じ道を歩ませてくれた、母に感謝の言葉を言いたい。
ありがとう。
…母上、おかげで私は─

「…こんなに強くなれました」

蛇の顎は、右腕と左足で止められていて。
寝たままのヒミコは、眼を見開いていて、驚愕していて。
大蛇は閉じぬ顎を懸命に食いしばる。
ミシミシと、潰されそうになりながらもアリスはもはや使い物になるのか解らない左腕を持ち上げた。
震える手が、血を零す。流れる血が残っていたのかと、アリスは驚いた。

「天よ、照覧あれ」
紡がれる呪文は、勇者の裁き。
ほとんど枯渇した魔力が、左腕に集中した。
「全てを滅ぼさん闇を、嘆きを与えし魔を、冥府へといざなえ  ─来たれ、正義の雷」
手から稲光が迸る。
大蛇が口の中の得体の知れぬ恐怖に、怯えている。
ヒミコも慄いている。
球体となった雷光が、放たれた。
「ギガデイン」

大蛇の喉奥で、青白い光が爆ぜた。
 
 
 
 
しばらくして、大蛇は霞のように消えて、無くなった。
不意に、ヒミコが笑い出す。
高らかに、透き通った声で。
いつまでも、いつまでも…
笑いに笑って…それきり、ヒミコは動かなくなった。
笑っているような、悔しがっているような。
ただ、安らかに死んでいったのだろう、美しい表情であった。
アリスは、魔力を完全に使い果たす寸前であった。
最後の魔力でかけたベホマは、もはや何の効果も無いに等しい。
意識が遠のきそうであったが、彼女はカンダタの亡骸があった所へ行った。
何も、無かった。
─弔えなくてごめんなさい、カンダタ。でも仇、討ちましたよ?

微かに笑んだところで、アリスの意識は途切れた。
勇者は、父の言葉を思い出した。
「正義は、勝つ」


【D-4/アリアハン北の平原/夜】

【アリス@DQ3女勇者】
[状態]:HP1/10 MP 0 気絶 胸骨損傷 全身に火傷 
    左腕骨折、重度の裂傷(要メガザル、世界樹の雫級の回復薬
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:???

※棘の鞭、ミラーシールドはバーサーカーの居た場所に放置されています。
※レックスの道具(さざなみの剣 折れた皆殺しの剣 王者のマント)
 ハッサンの道具(聖なるナイフ まだらくも糸 魔物のエサ)
 テリーの道具(ボウガン 鉄の矢(29) イーグルダガー)
 カンダタの道具(ロトのしるし(聖なる守り))
 アリスの装備(炎のブーメラン 破壊の鉄球 隼の剣)
 以上はそれぞれの場所に放置されています。

【ヒミコ@DQ3 死亡】
【残り19名】


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-Aqua System 2007-