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勇者の子孫と賢者の子孫

勇者の子孫と賢者の子孫


登場人物
アレフ、ルーシア、ゼシカ、フローラ


「ねえ、天空人って飛べるのよね?」
ゼシカが唐突に切り出した。ルーシアが答える。
「ええ。この翼で飛ぶんですよ〜」
「いいなあ。私にも翼があったらなあ。…鳥になったことはあるけどね」
「でも私、飛ぶのすごく遅いんですよ〜。他のみんなは速いのになんででしょうね〜?」
「どうしてかしらねー」
アレフはおそらくその性格のせいだろう、と思ったが黙っていた。
―呑気だ。こんなにのんびりしていて本当にいいのだろうか?
アレフは今が殺し合いの最中だということすら忘れそうだった。
だが彼も、ここにいる誰も知らなかった。
この平和が、嵐の前の静けさでしかないということに。

「あっ、あそこ!見て下さい!」
ルーシアが突然大声を上げる。アレフはびっくりして顔を上げた。
「あー、あれ人かしら?二人…二人いるみたいね」
「早く行きましょう!怪我してるかもしれません!」
言うが早いかルーシアは既に駆け出していた。ゼシカもそれを追う。
―まったく、こういうときは速いんだな。
そんなことを思いながら、アレフはゼシカと彼女の後を追って走り出した。

そこに人は二人いた。一人は女性で、泣いている。もう一人は僧侶と思しき女性で、腹部に刺し傷がある。眠っているようにも見えるが…
「…どうやら、お亡くなりになられているようですね」
アレフがそう言うと泣いていた女性は一層激しく泣き出した。
「…お気持ち察します。僕はアレフといいます。こちらはルーシアさんとゼシカさん。あなたのお名前は…?」
「…私は…フローラ、と言います…」
青髪の女性―フローラは彼の質問に答えた。
「…すみません。もし、差し支えなければ…何が起きたのか教えて頂けませんか?」
フローラは嗚咽を交えながらも話し始めた。
自分は彼女と一緒に行動していたこと。突然ドラゴンと一人の女性に襲われたこと。
何とか逃げたものの自分は酷い火傷を負い、彼女は毒針で腹部を刺されてしまっていたこと。
「…そうですか。辛かったでしょうね…」
アレフは思わず目を伏せた。ゼシカは兄のことを、ルーシアは仲間のことを思い出し、黙っている。

―うふふ。こんなに簡単に引っかかってくださるなんて。楽ですわね。
フローラは心の中でほくそ笑んだ。
さっき語ったことは全て嘘。彼らを騙すためだ。
もちろん彼らはそれが嘘であることに全くと言っていい程気付いていない。
そして、どうやら彼らの中にこの火傷を治せる者はいないようだ。
―どうやら、使えそうにないですわね…。

「あのー…」
突然ルーシアが口を開いた。フローラは少し驚き、彼女の方を見る。
「どうしたの?」
ゼシカが尋ねる。
「いえ、些細なことなんですけど〜。あの人のお腹に刺さっていた毒針ってどこに行ったんでしょう〜?」
「ああ、それなら私が」
そう言ってフローラはザックの中を探し始める。
その様子を見ていて、ゼシカは何となく違和感を感じた。
―私だったら。
そう、自分だったら、大切な仲間を死に至らしめた武器など持っていたくもない。
…もしかして、この人は…。
―なんてね。考えすぎ、よね。
この程度で人を疑うなんて、とゼシカは自分が恥ずかしくなった。

「ありましたわ。これです」
フローラはザックから毒針を取り出し…それをいきなりルーシアの腕に突き刺した。

「ッきゃあああぁぁああ!!」
ルーシアの悲鳴が辺りに響き渡る。
フローラは平然と、その腕から毒針を抜く。
予測もつかなかった彼女の行動にアレフもゼシカも驚き、声すら出ない。
やっと、アレフが絞り出すような声で尋ねる。
「…フローラさん、あなた、一体何を…」
「あら、私、このゲームに乗っていないと一言でも言いまして?」
「ッ…!」
アレフは全身の血液が沸騰するかのような怒りを覚えていた。
彼女に、そして自分に対しても。
―油断していた…。
このゲームに乗っている者などいないのではないか…。
そんな甘い考えに捕らわれていたのだ。

「あらあら。怒っている場合ですの?彼女、まだ生きてますわよ」
そう言われ、アレフはルーシアの方を見、彼女の元へと駆け寄る。
毒が回っているようだが、確かに生きている。
「まあ、どうせ私に殺されるのですから、生きていようと死んでいようと同じことですけれども」
フローラは嬉しそうに言った。

―ぷつん。
何かが切れる音がした。
ゼシカにはそれが何かよく分かっていた。

「アレフさん!」
気が付くとゼシカは大声を上げていた。
「ルーシアさんを連れて、逃げて!このままだと、ルーシアさん、本当に死んじゃうわ!」
突然の提案に、アレフは驚きながらも冷静になって考える。
確かにそれが最善策であろう。しかし、それではゼシカが心配だ。
「私は大丈夫よ!これでも賢者の子孫なんだから!…それに…」
そんなアレフの心を見透かすかのようにゼシカが言った。続けて言う。
「…あの人を許せない…。ルーシアさん、何も悪いことなんてしてないのに…」
それを聞いて、アレフはもう彼女に何を言っても聞かないであろうということを悟った。
―止めても無駄か…。
「…分かった。君を信じるよ。…絶対に、絶対に死ぬなよ」
そう言ってアレフはルーシアを腕に抱えると、西へ向かって走り出した。

「ふふ。逃がしませんわよ」
フローラはそれを追おうとする。
ゼシカは彼女の進行方向にメラゾーマを一発、牽制として打った。
「行かせないわ。…あなたの相手は私よ」

そして、天に選ばれし天空の勇者の子孫と、神に選ばれし七賢者の子孫とのぶつかりあいが始まった。


【C-5/山岳地帯/午後】

【フローラ@DQ5】
[状態]:顔から右半身にかけて火傷の跡
[装備]:山彦の帽子
[道具]:変化の杖 毒針 ベレッタM92(残弾14) マガジン(装弾数15)×2
[思考]:ゼシカを殺す アレフとルーシアを追い、殺す ゲームに乗る 永遠の若さとリュカの蘇生を願う

※フローラの火傷には定期的な回復治療が必要です。 治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし、悪化します。
完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です

【ゼシカ@DQ8】
[状態]:健康
[装備]:神鳥の杖
[道具]:エッチな下着 未確認のもの(一つ)
[思考]:フローラを止める(殺さない) アレフとルーシアの元に行く 仲間を探しにレーベを目指す

【C-5/草原/午後】

【アレフ@DQ1勇者】
[状態]:健康
[装備]:マジックシールド
[道具]:鉄の杖 消え去り草
[思考]:ルーシアの毒を治すためにレーベを目指す ゼシカを助けに戻る ローラ姫を探す

【ルーシア@DQ4】
[状態]:毒
[道具]:神秘のビキニ 祈りの指輪
[思考]:同上 仲間(アリーナ・クリフト・トルネコ)を探す


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