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LUNATIC MOON

LUNATIC MOON


登場人物
アリス、カンダタ、クリフト、ククール、トロデ、マリア、ハッサン、テリー、レックス、バーサーカー、ヒミコ


突如として天空に鐘の音が響き渡った。
何事かとアリスたちは足を止めて空を見上げる。
聞こえてくるは悪魔の声。

(く、そのように余裕の声を出していられるのも今のうちです!
 必ずこの世界から抜け出して滅ぼして見せます!!)

アリスは強い決意とともに憎き敵の言葉を聞き漏らすまいと唇を噛み締める。
禁止エリアはカンダタが地図を取り出して書き留めていた。
次に流れるは死者の列。そして、アリスの身体が揺れた。

『フィオ』

「そ……ん、な」
アリスの脳裏にあの飄々とした僧侶の顔が浮かぶ。
常にマイペースだった彼女。どんな強敵を前にしてさえ慌てるといったことが無かった。
効率的な行動を旨とするサマンサとはそりが合わなかったようだが
彼女の僧侶呪文は幾度も旅の危地を救ってくれた。そんな彼女が……死んだ。

『ん、私を仲間にしたいって? そうだね、契約金3万G、月々1万Gで仲間になってあげるよ。
 ん、まあ出世払いでいいさね。世界を救ったら払ってくれるかい?』

ルイーダの酒場で最初に会った時、そうそうに気さくな冗談を言ってきた。
(実は冗談ではなかったのだがアリスは最後までそれに気付かなかった)
その後の旅でも他人に無関心な要でいて細かいところによく気がつき、補助してくれていた。
彼女がいなかったらアリスたちは世界を救うどころか途中で倒れていただろうことは想像に難くない。
とても頼りになる姉のような存在。それがフィオだった。
その彼女は……もういない。

「フィオ……ッ」

アリスは涙を堪え、空を見上げる。既に日は完全に落ち、白い月が浩々と大地を照らしていた。

不安そうにカンダタが声を掛ける。
「姐さん……」
「大丈夫です、カンダタ……私は、勇者です。立ち止まりはしません。
 止まってはいけません」
そう、勇者は哀しみに立ち止まってはいけない。
どんな時も正義に邁進しなければならない。
目の前で父、オルテガが戦死した時も彼女は立ち止まらなかった。
だから今も彼女は全てを背負い、耐える。
今ここで立ち止まれば全ての犠牲を無にすることになるからだ。
「フィオ、仇は取ります」
ハーゴン打倒の決意をより高め、アリスの心の揺れは止まる。
気持ちを入れ替え、いざアリアハンへと進もうと仲間を振り返る。

そこには、魂の抜けた表情で膝を突いているクリフトの姿があった。

先程の放送から流れた一つの言霊。
それはクリフトを絶望の淵に追いやるには充分だった。
「私は……何の為に……」
ブツブツと力なく呟く。
全ては彼の女神、アリーナを生き残らせるためだった。
その為に幾人も襲い、今またこのアリスという少女を利用しようとしていたのだ。
それは――全て無駄な行為だったのか。
どれだけの罪を犯そうとも、神に背こうとも、アリーナさえ幸せでいてくれるなら他には何もいらなかった。
無様な死を迎えようとも地獄に落ちようとも構わなかった。
他人にどう罵られようとそれは彼にとって殉教と言える行為だったのだ。
それなのに、それなのに! 自分はただ罪を重ねただけの愚か者に成り下がった。
側にいた誰かが何事かを話しかけてくる。
だがもうクリフトは関心を持たなかった。

――――死のう

彼は答えを出す。

アリーナの居ない世界には何の未練もなかったから。
その時、肩を掴まれ揺さぶられた。
アリスはまだ何かを叫んでいる。
(もういいんですよ、何もかも。放っておいてください)
そう言おうとしたが何もかも億劫だった。
そして……ある言葉が耳に入ってきた。

「ハーゴンたちの言葉になんて惑わされないでください!」

なんでその言葉だけ耳に残ったのだろう。
ハーゴンの言葉? ハーゴンは何と言っていただろう。
ぼんやりとした頭でクリフトは最初の広間でのことを思い出していた。

―― このゲームに勝ち残り最後の一人となったものには私直々に褒美を取らせよう。
 元の世界に戻すのは当然、富も名誉も思いのままだ。そして……死者を甦らせることもな ――

―― 死者を甦らせることもな ――

急速に、脳が、覚醒していく。
自分の行動方針はなんだった?
アリーナを優勝させ、復活させてもらって元の世界へ帰る。
そう、復活させてもらって、だ。
なら逆でもいいではないか。アリーナを復活させてもらうのだ。

―― 自分が優勝して。

なんでこんな簡単なことに気付かなかったのだ。
心の奥から力が湧いてくる。どす黒く、濁った力が。

「しっかりしてください! 私たちがここで負けてはいけません!!」

アリスの声もクリアになり、クリフトはようやく外界をハッキリと認識する。

彼は虚ろな瞳のまま、アリスに向かって微笑んだ。
「ええ、その通りですね。心配をかけたようで申し訳ありません」
「良かった、正気に戻ったんですね?」
安堵した表情のアリスを内心侮蔑しながらクリフトは頷いた。
「はい。かけがえのない人の死を知り、私はくじけそうになってしまいました。
 でもあなたの言うとおり、ここで負けてしまってはアリーナ様に申し訳が立ちません。
 私はもう大丈夫です。行きましょう」

そう、自分はもう大丈夫。生きる目的を見つけたのだから。
アリスと、カンダタと頷きあうと、彼はアリアハンへと向かって歩き始めた。
一つの狂気と共に。
 
 
「なあ、マリア王女。その竜王のことなんだが……」
「はい?」
空飛ぶベッドの上でのククールの言葉にマリアは訝しげな視線を向ける。
彼はなんだかとても言いづらそうに口をもごもごと動かしていたが、やがて意を決したように
マリアの瞳を見つめた。
「その竜王って奴と出会ったら、まず俺に話をさせてくれないか?」
「何故です?」
「先程はああ言ったが……どうも俺にはその竜王が、ゲームに乗ってアレンと戦っていたとは思えないんだ。
 王女から竜王のことを聞いた今でもそう思う。そう考えると不可解な部分がでてきてしまうんだ」
ククールはその時のことを思い返す。
あの時、アレンが強く踏み込んだと思ったその動き。明らかに不自然なものだった。
あれはククールに気付き、竜王を庇おうとしたのではないか。
だとしたら彼らが戦っていたのは、ゲームとはまた別の意図があったのではないか。
それにその後ククールは竜王の一撃によって気絶した。そう、自分が生きていること自体がおかしい。
ゲームに乗っていたなら自分に止めを刺さない筈がない。
そして何故、アレンの遺体にマントが被せられていたのか。
「竜王がそんなことを……」
「俺にはわからない。竜王が真の悪なのか、それとも……」

「なんと、バーサーカーじゃ!!」

その時ククールの言葉を遮り、トロデが叫んだ。
寝入っているレックスを除いた全員がベッドからトロデの指差す方向を覗く。
バーサーカーは明らかにこちらを捕捉して近付いてきていた。
月明かりの中、左手に持つモーニングスターをぶんぶんと振り回していたかと思うと、大きく振りかぶる。

「不味い、ありゃ破壊の鉄球だ! ハッサン、もっと高度を上げろ!」
「無理だ、これ以上あがらねぇ!!」
「だったら速度を上げて振り切れ!!」
「無理だ、これ以上あがらねぇ!!」
「じゃあ転進だ!! 急――」

唸りを上げて鉄球が豪速で迫る。
鉄球は正確にベッドを捉え、粉々に打ち砕いた。

「うおおおおおおおおおおおおおおっっ!!?」

ベッドが盾になったおかげで直撃は避けられたものの、ハッサンたちは夜空に放り出されてしまう。
「くっ、レックス!」
ハッサンは咄嗟にレックスの腕を掴むと胸に抱え込み、地面へと墜落した。
受身を取りながらゴロゴロと転がり、何とかダメージを最小限に抑えたものの、身体のあちこちを擦り剥いてしまった。
「ふう、なんとか……ぶべっ!」
「ブギャアァ!?」
ホッと息をつこうとした所で、ゴィン、とハッサンの頭蓋を衝撃が襲った。
一足遅れて落ちてきたトロデ王がハッサンの頭に直撃したのだった。
トロデは目を回して気絶し、ハッサンの頭には大きなこぶができる。
「痛〜〜」
レックスを降ろし、痛めた頭を抑えているとビュン、と風きり音が鳴った。
嫌な予感に咄嗟に頭を下げると、一瞬後にそこを鉄球が通過する。
鉄球はハッサンの背後の地面を大きく爆散させると、再びバーサーカーの下へと舞い戻っていく。

「てめぇ!」
ハッサンはトロデとレックスを戦闘に巻き込まないように廻り込みながら、バーサーカーへと駆けた。

「きゃあ!」
「マリア王女!!」
マリアはククールが抱きとめ、空宙で体勢を整えて華麗に着地した。
「お怪我はありませんか、お嬢さん?」
「はい、ありがとうございます」
マリアを地に立たせ、バーサーカーの方を見やる。
「奴のあの武装じゃハッサン一人じゃ荷が重い、加勢に行くから王女はトロデ王とボウズを頼む!」
「はい、バーサーカーはミラーシールドを持っている筈です! うかつに呪文を使わないよう気をつけてください!」
マリアの忠告を背に、ククールはハッサンの援護に向かう。

「ちぃ、破壊の鉄球も厄介だがあの隼の剣モドキも厄介だぜ!」
ハッサンは身かわし脚で攻撃の回避に専念していた。
それというのも遠距離では破壊の鉄球が、近距離では隼の剣とも思えぬ凄まじい威力を持つ剣によって
接近を阻まれているからだ。
鉄球を掻い潜り、拳の距離まで接近しても地面を抉り取るほどの斬撃が二連続で襲い来る。
「喰らえ!」
ハッサンは魔物使いの特技、火炎の息を吐いてバーサーカーの周囲を焼く。
大した痛手にはならずとも、火によって相手の激しい運動性を制限するのが目的だ。
だがバーサーカーは炎にも怯まず再び鉄球を放つ。
「何!?」
炎の壁を貫いて鉄球が迫る。意表を突かれたハッサンは回避することができない。
ハッサンは一瞬でその選択を捨てると、どっしりと地に腰を落としてかまえた。
「大地よ、俺に力を貸してくれ!」
自然を知り、一体となってその力を借りるレンジャー。その高位特技「大防御」。
ハッサンの筋肉が瞬時に膨張、硬化してその守備力を跳ね上げた。
ドォン、という衝撃とともにハッサンは両の腕で鉄球を掴み取る。
その威力によって十数メートルもの距離を両足が擦り、土煙を巻き上げながら押し飛ばされるが、
見事にハッサンは破壊の鉄球を受け止めた。
しかし両の足は地面との摩擦によってボロボロになってしまい、両の腕も威力を殺しきれずに痺れて動かなくなっていた。

「ぐ……うっ」
ドスン、とハッサンはその場に鉄球を取り落とす。
すると鉄球は高速でバーサーカーの下へと帰還していった。
「しまった!」
破壊の鉄球を回収したバーサーカーは動けないハッサンに接近し、はかぶさの剣を振りかぶる。
死を覚悟した一瞬、バーサーカーは横合いから矢の一撃を右腕に受け、吹っ飛んだ。
「無事か、ハッサン!」
「お、おお」
駆けつけたククールに力なく受け応えたる。
今の一撃でのダメージはそれほどでもないが衝撃で四肢が動かなくなっていた。
「ち、ボロボロだな……ベホマ!」
ククールの回復呪文によって何とか腕の痺れは収まり、感覚がマヒしていた足にも痛みが戻ってくる。
「ありがとよ、ぐぅっ!」
「無茶するな、奴は俺がなんとかするからお前は下がってろ」
「心配いらねぇよ、伊達に鍛えちゃいねぇんだ。これくらいで動けなくなるハッサン様じゃねぇぜ!」
「言っても無駄か……! 見ろよ、奴さんも同じらしいぜ」
ククールの視線の先ではバーサーカーが起き上がり、腕に刺さった矢を抜いているところだった。
止血もせずに剣を握り締め、左手には再び鉄球を携え、二人を見つけるや否や飛び出してくる。
「来るぞハッサン! ここが正念場だ!」
「おおよ!!」
ハッサンは拳を打ち鳴らし、ククールは矢を番え狙いを定めた。
 
 
「おじさま! おじさま!」
「う〜ん、ムニャ……ハ!?」
気絶していたトロデはマリアに揺り起こされて目覚める。
ガバッと起き上がり、キョロキョロとあたりを見回した。
「バ、バーサーカーは!? あれからどうなったのじゃ!」
「今ハッサンさんとククールさんが戦ってくれています。私も援護をしたいのですけれど……」
三者の動きが……正確にはハッサンとククールの間を駆け巡るバーサーカーの動きが激しすぎて
下手に攻撃呪文を使えば味方を巻き込んでしまうため、おいそれと手出しが出来なくなっていたのだ。
加えてミラーシールドで呪文を跳ね返されてしまうかもしれないという懸念もある。

その戦いぶりを観てトロデは唸る。
「むう、まさに狂戦士。説得は通じぬであろうな……ここで討つしかあるまい。
 頑張れ〜〜ハッサン、ククール!!」
大きく手を振ってトロデは二人を応援する。
その時、マリアは闇の気配を色濃く感じ取った。
ハッとしてレックスを見るが、少年はまだ眠りについたままだ。
(ならこの気配は一体……)
用心深く周囲を見渡す。そしてマリアは見た。
月下、黒い霧を身に纏いて一直線にこちらを目指して疾走る般若の姿を。
「おじさま!!」
「むう?」
マリアの悲鳴に振り向いたトロデもまたその姿を見る。
「その格好、もしやテリーか!?」
「なんですって?」
トロデはその背格好から一目で般若がテリーだと見抜く。
マリアもその言葉に改めてその姿を見る。
なるほど、黒いオーラに覆われて判断しにくいが確かに先程別れたテリーだった。
「テリーよ、その奇妙な面はなんじゃ!? 何故そのような……」
トロデはテリーに問いかけるが、答えは返ってこない。
だた真っすぐにテリーは駆けてくるのみだ。
だがマリアはその面から感じる闇の気配を感じ取っていた。
(今の彼は……邪悪な呪いに心を奪われている!!)
そう、あの可哀相な子供と同じように。

「おじさま下がって! バギ!!」
「マリア王女!?」

このままでは殺されると直感したマリアは牽制の為に威力を抑えたバギを放った。
マリアの杖から生み出された無数の真空波がテリーを襲う。
しかしテリーはさざなみの剣を振るうと光の壁を生み出し、バギを弾き返した。
「しまった! きゃぁあああああああああ」
「うぎょえええええええええええええええ」

二人は弾き返された真空波を受け、吹き飛ばされる。
しかし威力を抑えていたのが幸いし、服はズタズタになったものの傷は浅く済んだ。
痛みを堪えてマリアは身を起こすが、そこにテリーが迫る。

「殺す……殺す……殺す……」

殺意の塊となったテリーは無情に剣を振り降ろした。
 
 
「な、トロデ王、マリア王女!?」
「ありゃテリーかよ!?」
マリアたちに起こった異変に気付き、ハッサンたちも焦る。だが――
目の前にいるバーサーカーが簡単に救援に行かせてくれそうもなかった。
破壊の鉄球とはかぶさの剣による遠近両方の即死結界が二人の攻撃を鈍らせ、
いまだにバーサーカーはピンピンしている。腕の矢傷の痛みも感じていないようだ。
だがこのままではマリアたちが危ない。
いつまでもバーサーカーに関わっているわけにはいかなかった。
「ハッサン、お前行け。ここは俺が食い止める」
「馬鹿言え! 二人掛りでようやく膠着状態に持ち込んでるってのに俺が抜けたら……」
そこに破壊の鉄球が来る。
タイミングを合わせて二人ともその攻撃を回避し、ククールはニードルラッシュを放った。
瞬時に放たれた四本の矢ははかぶさの剣によって全て中空で叩き落される。
「だったらどうする! ぐずぐずしてるとマリア王女たちが危ない、迷ってる暇はないんだ!」
「なら俺が……」
「お前の方があのテリーって奴のことをよく知ってるだろう! 逆にあのバーサーカーのことは
 俺のほうがよく知ってる、適材適所だ、行け!」
「ぐ……」

ハッサンはそれでも迷いを見せる……だが。

「しまった! きゃぁあああああああああ」
「うぎょえええええええええええええええ」

そこにトロデとマリアの悲鳴が響き渡る。

(迷ってる、暇はねぇ!!)

ハッサンはククールを見る。
ククールはハッサンを見た。

「後は任せた!」
「後は任せろ!」

すれ違い様にパン、と手を打ち合い、二人はそれぞれの戦場に向かう。
駆け去るハッサンを見てバーサーカーはその背に破壊の鉄球を投げようとするが、
ククールはその足元に矢を撃ちこんでその動きを止めた。
「アイツは忙しいんだ。ダンスの相手なら俺がする。
 お前みたいな奴を相手にするのは趣味じゃあないが、この際は仕方がない。
 付き合ってもらうぜ!!」
「ギィャアアアアアアアア!!」
バーサーカーはククールに向き直ると再び鉄球を振りかぶった。
「ワンパターンなんだよ!!」
ククールは冷や汗をかきながら強がりを口にする。
(やれやれ、この俺がこんな雑魚を相手に死を覚悟しなきゃならんとはね……。
 だが、もう俺の仲間は死なせはしない! なぁエイトよ!)
 
 
ギン、と金属音が鳴り響きマリアの手から杖が弾き飛ばされる。
最初の斬撃はかろうじて防いだが、次の攻撃を防ぐ手段はない。
「く……」
「テリー止めるんじゃ!!」
トロデの制止を気にも留めず、テリーは再び剣を……
「うるぁッ、疾風突きぃ!!」
突如として巨体がテリーの前に躍り出て、目にも留まらぬ拳打で斬撃よりも速く喉元をを打ち貫く。

テリーはそのまま地面に叩きつけられ、ゴロゴロと転がった。
「ハッサンさん!」
「ようやった、ハッサン!」
マリアの絶体絶命の窮地を救ったのは後をククールに任せて救援に来たハッサンだった。
「起きやがれテリー! それがお前の出した答えだってのかよオイ!?」
その怒号に応えるようにテリーはむっくりと起き上がる。
足取りはしっかりしていて、まるでダメージを受けていないかのようだ。
「ハッサンさん、おそらくテリーさんはあの面の呪いによって正気を失っています!
 なんとかあの面を壊してください!」
「レックスの時と同じかよ……テリー、なら俺の拳骨でお前の目を覚ましてやるぜ!!」
「……殺す」
ハッサンは聖なるナイフを構えるとテリーの斬撃を受け止めた。
そしてまわしげりでテリーを再び吹っ飛ばす。
(これ以上、俺は仲間を失うわけにはいかないんだ! バーバラ、ミレーユ、ドランゴ!
 力を貸してくれ!!)
 
 
7つの命が交差する戦いの野を、高台から一人見つめる影がある。
「くくく、これはこれは……中々盛大にやりおうておるのう」
テリーの後を追っていたヒミコである。
「しばし高みの見物と行くか……」
(1人2人喰えれば上等と思っていたが案外と多く食せそうであるな)
ズルリ、と舌なめずりをするとヒミコはその場に腰を下ろした。

彼女は知らない。運命が、近付いてきているのを。

(フィオが既に消えておったのは残念じゃが、まだ奴らの筆頭たるアリスがおる。
 それにサマンサの奴にも借りを返しておかねばのう……さて、できればおなごかおさなごが好みじゃが……)
 
 
「姐さん、ありゃ戦闘の音ですぜ!」
「解っています! クリフトさん、あなたはこの辺りに隠れていてください!

私たちは戦闘を止めに行きます!」
「はい、解りました。私は戦闘の役には立ちませんからね……ご武運を祈ります」
「ああ、こうなったら姐さんは止めらんねぇ……」
「カ・ン・ダ・タ・?」
「へい、行きやす!」
そういってカンダタとアリスはファルシオンに飛び乗ると、森を駆け抜けていく。
駆け去っていくアリス達を見送り、クリフトは思う。
(やれやれ、戦闘に巻き込まれるのはゴメンです。私は生き延びなくてはなりませんからね。
 しかし好機でもある。全てが終わった後に現れて、残った者を殺すのが理想ですが……さて)
どちらにしろ、戦闘の様子は見守らなくてはならない。
クリフトは先を行くアリス達に気付かれぬよう、そっと後を追い始めた。
 
 
少年はずっと身を伏せている。
柄のみしか残っていない呪いの剣を握り締め、彼はずっと機を窺っていた。
レックスはベッドが粉砕された直後に目覚めていたが、何度も眠らされた経験から今は動くべきではないと判断したのだ。
常に周囲の状況を気付かれぬよう観察し、いつでも逃げられる体勢はとっている。
しかし、この状況を利用すれば一気に自分以外の者を全滅させることも不可能ではない。
(とりあえず、あの魔物も、仮面の人も僕には関心持ってないみたいだから今は大丈夫だね。
 とにかくチャンスが来るまでは大人しくしていよう)
冷静にそう判断する。
全てを――壊す為に。

(殺すしかない……僕はもう、戻れないんだから)

誰も気付かなかった。レックスの右手が剣の柄を強く握り締めたことに。
 
 
 
戦いは尚も続く。狂気を呼ぶ月に照らされて。
夜はまだ、始まったばかりだった。


【D-4/アリアハン北の平原/夜】

【トロデ@DQ8】
[状態]:HP4/5 服はボロボロ 全身に軽度の切り傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(不明の品が1?) 大錬金釜 聖者の灰 ミレーユの通常支給品
[思考]:この状況を打破する方法を考える レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン

【マリア@DQ2ムーンブルク王女】
[状態]:HP4/5 服はボロボロ 全身に軽度の切り傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(不明の品が1〜2?) ※小さなメダル トゲの鞭 毒薬瓶
[思考]:この状況を打破する方法を考える レックスの呪いを解く方法を探す
    打倒ハーゴン 竜王(アレン)を倒す

【レックス@DQ5王子】
[状態]:呪われている(呪いの効果弱)  気絶した振り 打撲
[装備]:折れた皆殺しの剣 王者のマント
[道具]:祈りの指輪×1(一回でも使えば限界)
[基本行動方針]:気絶した振りをしながら機を窺う ゲームに乗る

【ハッサン@DQ6】
[状態]:HP3/5 両足に擦過傷と軽度の火傷 疲労
[装備]:聖なるナイフ
[所持]:まだらくも糸 魔物のエサ
[思考]:テリーを止める レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン

【テリー@DQ6】
[状態]:呪いの効果により防御力が大幅に上昇
[装備]:さざなみの剣 般若の面
[道具]:ボウガン(鉄の矢×30)  イーグルダガー
[思考]:殺戮

【ククール@DQ8】
[状態]:HP2/3 右腕に火傷(半分回復)  疲労
[装備]:ビッグボウガン(矢 4)
[道具]:天馬の手綱 インテリめがね アリアハン城の呪文書×6(何か書いてある)
[思考]:バーサーカーを倒す レックスの呪いを解く方法を探す マルチェロを止める
     竜王(アレン)と話す
【バーサーカー@DQ2】
[状態]:HP4/5 右腕に矢傷
[装備]:破壊の鉄球 はかぶさの剣
[道具]:ミラーシールド
[思考]:目の前の男を殺す 闘争本能のままに獲物を求める

◆はかぶさの剣…破壊の剣の威力とはやぶさの剣の二回攻撃を併せ持つ。
  一度手放してしまうと効力を失ってしまう。

【D-4/アリアハン北の平原 高台/夜】

【ヒミコ@DQ3】
[状態]:HP3/5
[装備]:なし
[道具]:きえさりそう ホットストーン
[思考]:戦闘を見物 幾人か喰らい傷を癒す サマンサ、アリスを喰らう

【D-4/森の中/夜】

【アリス@DQ3女勇者】
[状態]:HP4/5 MP2/3
[装備]:白馬ファルシオン 炎のブーメラン
[道具]:支給品一式
[思考]:戦闘を止めに向かう アリアハンへ向かう

【カンダタ@DQ3】
[状態]:健康
[装備]:ロトのしるし(聖なる守り)
[道具]:支給品一式
[思考]:戦闘を止めに向かう アリアハンへ向かう 姐さんについていく

【クリフト@DQ4】
[状態]:左足に火傷(ある程度治癒) 背中に火傷(ある程度治癒) MP1/2程度
[装備]:なし
[道具]:祝福サギの杖[7]
[思考]:戦闘の様子を見る アリスとカンダタを利用し、自分の護衛をさせる
     自分が優勝し、アリーナを復活させてもらって元の世界へ帰る

※いかづちの杖はマリアの近くに転がっています
※空飛ぶベッドは完全に破壊されました


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-Aqua System 2007-