[No.76]
2回目無自覚危機回避
【登場人物】
ローラ、ゴン
ふと、見れば、親子ほどの大小2つの生物が一塊になって歩きながら、頭を寄せ合っている。
仲むつまじき事かな、と私は思った。
しかし、よくよく見れば、体色が違いすぎ、一方の背には尻尾があった。
どうやら親子ではないらしい。
命の危険を感じないでもなかったが、興味の方が勝り、もっと近づくことにする。
デカイ竜が、器用にも爪のある片手に紙を持って、
竜の背で支えられている少女が、これまた器用に紙を竜の背から覗きこんでいる。
「【B−3】と区分してあるところに入ったみたいですわね」
「ああ。このまま西に進むと村があるみたいだな」
(きっと、アレフ様なら、人を助ける為に村か城を目指していらっしゃるに違いないわ)
(竜王様の行きそうなところ…あの御方の思考は俺には複雑すぎて考えつかん。
地道に歩き回るしかないか)
「真っ直ぐすすみましょう」
「そうだな、あてもないことだし…」
2つは影をあわせながら進んでいく。
その巨体にしては歩みが遅い。
竜が時々視線を後ろに向ける。
どうやら、少女を落とさないように、わずかながらも気を使って進んでいるらしい。
一人と一匹に目立った動きがなく、そろそろ引き上げるかと思ったとき、少女が再び口を開く。
「ゴンさん、そろそろ食事にしませんか?わたくしお腹がすきましたわ」
「うん?」ゴンさん、と呼ばれた竜が空を見上げる。
太陽は真上よりも傾いていた。
「相変わらず面倒なやつだな。まあ、いい。ほらよ」
少女が降りやすいように背を傾ける。
少女は微笑みながら、竜の背から降りた。
「ありがとうございます」少女が礼を言う。
「べ、べつに礼を言われるほどのことでもねえよ」照れたのか顔を伏せる。
生憎、緑の体色のせいで赤くなったのかは確認できなかった。
少女が草上に座り、持っていたザックから水筒とパンを取り出す。旨そう…いやいや、これ以上近づくと身の危険が。
「ゴンさんは、お食事はしないのですか?」
「俺はパンなんぞいらん。くれてやる」少女にパンを渡す。
「まぁ」
少女がゴンの口に、パンを一切れ持っていく。
「でも、食事は大勢でした方が楽しいですわ。はい、あ〜ん」
『あ〜ん』って!!!ちくしょー。うらやましい…。
しかし、ゴンは近づいてきた手を押さえる。
「よせ」
「まぁ」
少女は少し悲しそうな顔をしていたが、ゴンは少女の表情から目をそむけた。
行き場のない腕は伸びたまま。
やがて竜はそっぽを向きながら言った。
「自分で食う」
「はい」
嬉しそうな顔でパンをゴンに手渡した。
「食事というと紅茶が欲しくなりますわね〜」
「…取りには行かんぞ」
「わかってますわ。でも、あれば嬉しい。という話をしてるだけじゃありませんの」
(それが曲者なんだ…)
一人と一匹が喋りながら食べ始める。
みていると、なんだか、むかついてきたので立ち去ることにする。
いつものように叫びながら。
アホーアホー
(俺にとって嬉しい食事は生きた物なんだがな。
まあ、焼き鳥にすると、馬鹿女のうるさいお喋りが始まるかもしれんし、
無駄に生き物を殺すのは止めておくか)
ちらりと竜がこちらを見たような気がした。
【B-3/午後】
【ローラ@DQ1】
[状態]:健康
[装備]:光のドレス
[道具]:ロトの剣 支給品一式
[思考]:アレフを探す ゲームを脱出する
【ゴン@DQ1ドラゴン】
[状態]:左肩に銃創(浅い)
[装備]:メガンテの腕輪
[道具]:支給品一式(不明アイテム一つ所持)
[思考]:ローラを竜王の所に連れて行く それまでは護る