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[No.94]
 Phony Actor
【登場人物】
クリフト、アリス、カンダタ

私はアリアハンから逃げていたが、あの青服男が追って来ないことに気付き、
地図を出して、現在位置を確認した。
どうやら私はアリアハン北の森の中にいるらしい。
あの青服男に焼かれた足があまりに痛むので、ここで休息をとることにした。
火傷に向かって回復魔法を唱える。
先程から私は失敗続きだ。
南国男と銀髪男もそうだし、青服男もたった一人の少女すらも殺せなかった。
やはり、不意打ちのザラキだけでは限界がある。何れMPも尽きてしまうだろう。
誰かを殺して武器を奪えれば良いのだろうが、正直、剣や弓の腕にはあまり自信がない。
ならば、どうするべきか。
そうだ、味方を作ればいいのだ。お人好しな誰かを騙し、私を守らせればいい。
そして私にとって不都合な、私がゲームに乗っていることを知っている者を倒させる。
利用価値が無くなった頃に殺せばいいだろう。
一人思案していると馬の蹄の音が聞こえた。
最初は気のせいかと思ったが、どうやら本物らしい。
人の話し声も聞こえる。
全く、何とタイミングの良い時に来てくれるものだろう。
私はその場に倒れ伏した。

「なかなかつきませんね、姐さん」
カンダタが言った。私は何も言わなかった。
「…姐さん、聖なる守りのこと、まだ怒ってんですかい?」
カンダタが尋ねた。私は答えなかった。
「怒ってんですね…」
「アリアハンに着いたら私の家に行って洗ってもらいます」
私は淡々と答えた。
いくら聖なる守りでも、男性の股間に直に入れられていた物を持つなんて真っ平ごめんだ。
「着くまで貴方が持っていなさい」
「…分かりやした。…あれ?」
「どうしたのですか?」
今度は私が尋ねた。
「いや、人?人かな…。それが…倒れて…」
それを聞いて私は叫んだ。
「すぐに馬を止めなさい!」
「は、はいいぃぃぃっ!」
カンダタが手綱を止めた。私は飛び降りた。
カンダタも待って下さいよ姐さーんなどと言いながら馬を降りる。
私は倒れている青年に駆け寄って話しかけた。
「大丈夫ですか!?」

私は零れそうになる笑みを抑えながら起き上がる。
「…え、ええ。何とか」
「ああ、良かった…」
私の元に駆けつけてきた十代半ばほどの少女が安心したように呟いた。
「みっともない所を見せてしまいましたね。私はクリフト、神の道を志す者です」
あの少女を騙した時と同じ言葉を言った。おそらく大方の人間はこの言葉に騙される。
目の前の少女もそれですっかり私を信用したようだった。
私はこのゲームに乗っていないとは一言も言っていないというのに。
「で、お前は何でこんなとこにいたんだ?」
いかにも怪しい覆面男が私に尋ねてきた。
「カンダタ!そんな聞き方をするものではありません!」
少女がその男に肘打ちを喰らわす。覆面男は痛そうに腹を押さえて呻く。
「私はアリスと言います。こっちはカンダタです。…どうしてこんなところで倒れていたのですか?」
「…アリアハンで青服の男に襲われまして。命辛々逃げてきたのです」
私は嘘は付いていない。
「…そう、ですか」
「…姐さん、そんな奴が居たら危ないですよ。アリアハンに行くの止めませんか?」
覆面男が話しかける。
「馬鹿仰い!」
少女はそれをぴしゃりとはねのける。
「行くに決まっています!その人を止めなければなりません!」
こう、あまりにも都合良く事が運ぶと、返って何かあるのではないかと疑ってしまう。
「クリフトさん!」
少女がいきなり私に話しかけた。一瞬どきっとしたが、平常を装って答える。
「何でしょう?」
「一緒に行動しませんか?仲間は多い方が良いですし」
私の心配は、単なる杞憂だったようだ。
正義感に溢れていて、悪を許さない少女。だからこそ、私に利用されるのだ。
「勿論。こちらから頼もうと思っていたくらいです。ただ…」
「ただ?」
「私には武器もないですし、取り柄と言ったら回復呪文のみです。それでも構いませんか?」
少女は胸をどん、と叩いて私にこう言った。
「任せなさい!私が貴方を守りますから!」
ほら、騙せた。
【D-4/森の中/夕方(放送直前)】

【クリフト@DQ4】
[状態]:左足に火傷(ある程度治癒) 背中に火傷(ある程度治癒) MP1/2程度
[装備]:なし
[道具]:祝福サギの杖[7]
[思考]:アリスとカンダタを利用し、自分の護衛をさせる
    アリーナを優勝させ、復活させてもらって元の世界へ帰る

【アリス@DQ3女勇者】
[状態]:HP3/5 MP2/3
[装備]:炎のブーメラン
[道具]:支給品一式
[思考]:クリフトの護衛をする アリアハンへ向かう 悪を倒す

【カンダタ@DQ3】
[状態]:健康
[装備]:白馬ファルシオン ロトのしるし(聖なる守り)
[道具]:支給品一式
[思考]:アリアハンへ向かう 姐さんについていく

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